- 開催予定
- 企画展
遠距離現在 Universal / Remote
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パンデミックをきっかけに考えるようになった社会の在り方、その中の私たちの暮らしや労働など、様々な事象を現代美術を通して考察する展覧会です。全世界規模の「Pan-」と、非対面の遠隔操作「リモート」の2つの視点から、グローバル資本主義や社会のデジタル化といった現代美術における従来のテーマを新たに捉えなおします。過剰な監視システムや精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、その中で生きる人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、またポストコロナ時代の世界と真摯に向き合うものです。
出品作家:井田大介、徐冰(シュ・ビン)、トレヴァー・パグレン、ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ/ヒト・シュタイエル/ミロス・トラキロヴィチ、地主麻衣子、ティナ・エングホフ、チャ・ジェミン、エヴァン・ロス、木浦奈津子
開催概要
- 会期
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- 開館時間
10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで- 会場
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国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 - 主催
国立新美術館
- 観覧料
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未定
- 巡回情報
熊本:熊本市現代美術館、2023年10月7日(土)~12月17日(日)
広島:広島市現代美術館[予定]、2024年夏[検討中]- お問合せ
050-5541-8600(ハローダイヤル)
作家プロフィール
井田大介 Daisuke Ida
1987年鳥取県生まれ、東京都在住。2015年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。彫刻という表現形式を問いながら、彫刻・映像・3DCGなど多様なメディアを用いて、目には見えない現代社会の構造やそこで生きる人々の意識や欲望を視覚化している。2016年からは、世界中の人々がインターネット上にアップロードしている匿名的な画像を素材として、インターネット以降のモノや身体の在り方を彫刻する「Photo Sculpture」を継続的に制作している。
![]() 《誰が為に鐘は鳴る》2021年 |
徐冰(シュ・ビン) Xu Bing
1955年中国、重慶生まれ、北京とNYを拠点に活動。1987年北京の中央美術学院版画専攻の修士課程修了。実在しない「偽漢字」や漢字のように見える英文「新英文書法」の創作、絵文字と記号のみで書かれた小説「地書」、廃材を用いたインスタレーション作品などで知られている。本展では初の映像作品《とんぼの眼》(2017年)を上映する。
![]() 《とんぼの眼》2017年 |
トレヴァー・パグレン Trevor Paglen
1974年アメリカ、メリーランド州生まれ、ベルリンとニューヨークを拠点に活動。アート・インスティテュート・オブ・シカゴで修士号を、カリフォルニア大学バークレー校で地理学の博士号を取得。地理学や、マシンビジョン、監視と通信システム、AIによる自動生成イメージなどをテーマに、写真、映像、立体作品を制作している。
![]() 《軍人のいない戦争(コーパス:目の機械)敵対的に進化した幻覚》2017年 |
![]() 《米国家安全保障局(NSA)が盗聴している光ファイバーケーブルの上陸地点、米国ニューヨーク州マスティックビーチ》2015年 |
ヒト・シュタイエル Hito Steyerl
1966年ドイツ、ミュンヘン生まれ、ベルリン在住。日本映画大学とミュンヘンテレビ映画大学でドキュメンタリー映画を学び、2003年にウィーン芸術アカデミーで哲学の博士号を取得した。デジタル技術やグローバル資本主義といった、社会的条件の中のイメージの生産と消費に関する映像作品を制作。2010年代からはe-fluxを中心に著述活動を続けている。日本では『デューティーフリー・アート:課されるものなき芸術 星を覆う内戦時代のアート』が2021年に刊行された。
ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ Giorgi Gago Gagoshidze
1983年ジョージア、クタイシ生まれ、ベルリン在住。
ミロス・トラキロヴィチ Miloš Trakilović
1989年ボスニア・ヘルツェゴビナ、トゥズラ生まれ、ベルリンとアムステルダムを拠点に活動。
![]() 《ミッション完了:ベランシージ》2019年 |
地主麻衣子 Maiko Jinushi
1984年神奈川県生まれ、東京都在住。多摩美術大学大学院絵画専攻修了。ヤン・ファン・エイク・アカデミーのレジデンスプログラムに参加。映像、インスタレーション、パフォーマンス、テキストなどを総合的に組み合わせて作品を制作する。2021年に刊行された『葬いとカメラ』には、死と葬いを映像で記録することに関して文化人類学者の金セッピョルと行った対話がおさめられている。
![]() 《遠いデュエット》2016年 |
ティナ・エングホフ Tina Enghoff
1957年デンマーク生まれ、コペンハーゲン在住。ニューヨークのインターナショナル・センター・オブ・フォトグラフィー (ICP)で写真を学ぶ。北欧における植民地主義や福祉国家の制度的暴力、アーカイブの権力構造といった問題に関心を持っており、共同制作やアート・アクティヴィズムの手法でプロジェクトを実践している。エングホフの作品は、ドキュメンタリー写真というジャンルの中で表象と可視性を問うものである。
![]() 《Possible Relatives/男性、1954年生まれ、自宅にて死去、2003年2月14日発見》2004年 |
チャ・ジェミン Jeamin Cha
1986年韓国生まれ、ソウル在住。2010年に韓国芸術総合学校美術学部を卒業後、2011年にロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで修士号を取得。映像、パフォーマンス、インスタレーションから執筆活動まで、多岐にわたる媒体で制作を続けている。チャの作品は、身体と心理や感情との関係性を扱い、表現しがたい経験を持つ個人に焦点を当てる。また、技術の進歩によって縮小していく未知の領域を保存することに関心を持っている。
![]() 《迷宮とクロマキー》2013年 |
エヴァン・ロス Evan Roth
1978年アメリカ・ミシガン州生まれ、ベルリンを拠点に活動。メリーランド大学で建築学を学び、パーソンズ・スクール・オブ・デザインでデザイン&テクノロジーを専攻しMFAを取得。絵画や彫刻のみならず、ウェブサイトなど多様なメディアを通しての芸術制作にハッカーの哲学を応用する。彼が共同開発に参加した「The EyeWriter」は、身体が不自由なアーティストが眼球の動きのみで絵が描けるよう開発した装置で、第14回メディアアート芸術祭(2009年)で優秀賞を受賞した。
![]() 《あなたが生まれてから》2023年 |
木浦奈津子 Natsuko Kiura
1985年鹿児島県生まれ、鹿児島県在住。2010年尾道市立大学大学院美術研究科油画専攻修了。一貫して風景、特に日常の景色の油絵を描き続けている。カメラで捉えた近郊の風景をもとに描かれる木浦の作品は、単純で抽象的でありながらも、見たときの風景そのままを保存する不思議な魅力をもつ。複数の小さいキャンバスを壁全面に配置し、絵画インスタレーションとして構成する。2019年第45回鹿児島市春の新人賞受賞。VOCA展2022に出品。
![]() 《こうえん》2021年 |
本展のために小説家・福永信が掌篇9点を寄せたカタログを刊行します。カタログデザインは村尾雄太。
作品解説や作家の対談、インタビューなども収録されます。
また、本展のメインビジュアル等、各種宣伝美術をグラフィックデザイナー・石塚俊が手がけます。
福永信 Shin Fukunaga
小説家。1972年生まれ。著書に『星座から見た地球』、『一一一一一』、『実在の娘達』など。編著として『こんにちは美術』、『小説の家』などがある。
石塚俊 Shun Ishizuka
グラフィック・デザイナー。1983年生まれ。現代美術や舞台芸術、音楽、ファッションなどの分野において、宣伝美術をはじめ書籍装丁やディスプレイデザインに取り組む。2019年より自身のスタジオ/プロジェクトスペース「ピープル」を運営。2023年、JAGDA新人賞受賞。
村尾雄太 Yuta Murao
グラフィック・デザイナー。1990年生まれ。アート、ファッション、音楽などの領域に関わるグラフィックデザインやブックデザイン、ウェブデザインのプロジェクトに携わる一方、2017年よりデザインスタジオwellのメンバーとしても活動を行う。