大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ
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- 開催終了
- 企画展
「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」国立新美術館 2023年 展示風景
撮影:木奥惠三
大巻伸嗣(1971年岐阜県生、神奈川県在住)は、「存在するとはいかなることか」という問いを掲げ、身体の感覚を揺さぶるような大規模なインスタレーションを創り出してきた現代美術家です。大巻は、そうしたスケールの大きな創作を、日本はもとより、アジアやヨーロッパなど世界各国で発表し、高い評価を得てきました。また、地域を活性化するアート・プロジェクトから舞台芸術まで、多くの人々と協働して空間を変容させるさまざまな現場でも比類のない資質を発揮しています。
大巻の空間に包み込まれた私たちは、この世界における我が身の存在に、新たな視点を投げかけることになります。空間に痕跡を残すことで自らの身体を実感し、また、闇に包まれたり、強烈な光に照らされたりすることで、身体だけでなく、意識や感覚に、内省的に向き合うことを促されるのです。
大巻は、現代社会がどのような歴史を経て今に至り、現在どのような問題を抱えているかを深く考察し、それをもとにインスタレーションの着想を得てきました。また、光と闇を重要な要素とする大巻の空間は、太陽のリズムとともに在るこの世界を象徴するかのような始原的な感覚を湛えています。この始原性とも関わるのが、大巻が好んで用いてきた繊細かつ濃厚な装飾的な造形です。人間は、自然を抽象化した文様を身近なものとすることで、自然に寄り添って生きてきたからです。大巻のインスタレーションは、現代社会に対する優れた批評である一方、人間に普遍的にそなわる根源的な造形志向を色濃く反映しているのです。
本展覧会は、国立新美術館で最大の、天井高8m、2000m²にも及ぶ展示室をダイナミックに使って開催されます。この広大な空間でなければ展示できないインスタレーションは、観客の身体的な感覚と強く響き合い、細分化した世界に生きる私たちが失った総合的な生の感覚を喚起することでしょう。展示には、映像や音響、そして詩も用いられるほか、会場内でのパフォーマンスも予定されています。大巻が創り出す、現代の総合芸術をお楽しみいただければ幸いです。
開催概要
- 会期
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毎週火曜日休館
- 開館時間
10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※12月3日(日)・12月10日(日)は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで- 会場
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国立新美術館 企画展示室2E
〒106-8558東京都港区六本木7-22-2 - 主催
国立新美術館、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
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協力
株式会社アートフロントギャラリー、マインドセットアートセンター、株式会社中川ケミカル
令和5年度日本博2.0事業(委託型) - 観覧料
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無料
- お問合せ
050-5541-8600(ハローダイヤル)
作家プロフィール
大巻伸嗣(おおまき しんじ)
Pic by paul barbera / where they create |
1971年岐阜県生まれ。現在、神奈川県を拠点に制作。「存在」とは何かをテーマに大巻は、環境や他者といった外界、記憶や意識などの内界、そしてその境界にある身体の問題を探求してきました。大巻が生み出した空間で私たちは、外界と内界の相互作用や、時間と空間におけるその揺らぎを、身体的な感覚とともに多義的に経験します。 近年の主な個展に、「The Depth of Light」(2023年、A4 美術館、成都)、「地平線のゆくえ」(2023年、弘前れんが倉庫美術館)、「存在のざわめき」(2020年、関渡美術館、台北)、「存在の証明」(2012年、箱根彫刻の森美術館)など。「あいちトリエンナーレ」(2016年、愛知)ほか国内外の数多くの国際展にも参加してきた大巻は、近年、「Rain」(2023年、愛知県芸術劇場/新国立劇場)などの舞台芸術でも活躍しています。 |
みどころ
作品リスト
大巻伸嗣展 作品リスト(日本語・英語)1. 大巻の精神的深化を示すインスタレーション
本展覧会では、2016年に始まったシリーズ〈Gravity and Grace〉の最新バージョンのほか、私たちはなぜ生きるかという根源的な問いに基づく新作も発表される予定です。
2011年の東日本大震災とそれに付随して起きた福島の原発事故は、大巻にも大きな衝撃を与えました。〈Gravity and Grace〉で大巻は、原子力という諸刃の剣を抱える私たちの社会を批評しています。また、近年、言語学の様々な領域の研究者にインタビューを重ねて、私たちの意識と切り離せない「言語」をリサーチするなかで、「生きるとはいかなることか」を考察してきました。その一つの現れとして、新型コロナウイルス感染拡大の時期に制作された、新作の映像インスタレーションが発表される予定です。本展覧会は、3.11とパンデミックに挟まれた約10年の間に大巻が探求してきた、文明と自然、生と死への考察の深化を示しています。
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シリーズ〈Gravity and Grace〉
本展覧会は、2016年に初めて発表された〈Gravity and Grace〉シリーズの最新バージョンから始まります。さまざまな動植物からなる文様を施された大きな壺から放たれる強烈な光と、それが生み出す影。ここで大巻は、原子力が引き起こした未曽有の人災に、核分裂反応の爆発的なエネルギーの象徴とも言える、最大84万ルーメンにも達する強烈な光で応答しています。大巻は、この魅惑的な光と、そこに文字通り吸い寄せられる人々の姿を通じて、エネルギーに過度に依存した今日の社会を批評しています。 作品のタイトルは、フランスの哲学者シモーヌ・ヴェイユの箴言集『重力と恩寵』に由来します。ヴェイユによれば、重力によって縛られた私たちは、真空を受け容れることにより、神から恩寵を得られるといいます。大巻は、この大きな光と影のインスタレーションをもとにしたフォトグラムの制作も予定しています。
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2. 巨大なインスタレーションと繊細なドローイング
本展覧会は、天井高8m、総面積2000m²の展示室で開催されます。大巻は、その空間的な広がりを最大限に生かした3つの大きなインスタレーションを構想しています。大巻が創り出す空間はしばしば、身体を凌駕する大きさの効果ともあいまって、そこに身を置く者に深い内省を促すような崇高な感覚を与えます。本展覧会には、この圧倒的な空間を創出するために大巻が無数に描き残してきたドローイングも展示されます。大巻はドローイングを通じて、その場に漂う気配をつかみとり、空間の広がりや運動、光と影の交差などを確かめてきたのです。ダイナミックなインスタレーションと繊細なドローイングの対比も、本展覧会の見どころのひとつです。
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3. 他分野とのコラボレーション
空間における身体、また、他者との身体的関係に深い関心を寄せる大巻は、近年、「Rain」(2023年、愛知県芸術劇場、新国立劇場ほか)の舞台美術を手掛けるなど、演劇の分野にも活躍の幅を広げています。そもそも大巻のインスタレーションは、光と闇のコントラストや、舞台のような設えの空間に観者を導きいれる点で、演劇を強く想起させます。その空間に足を踏み入れる私たちは、観客であると同時に、大巻が立ち上げた世界の一員としての演者のようでもあります。展覧会会期中には、会場内でパフォーマンスも行う予定です。また、大巻が近年、言語に新たな着想を得ていることから、詩人の関口涼子とのコラボレーションも予定しています。関口の言葉が大巻のイメージの世界と並走することにより、そこに新たな深度が生み出されることでしょう。
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「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」 Artist Interview
関連図書
展覧会図録
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本書は、国立新美術館で行われる天井高8m、2000㎡にも及ぶ、柱の無い大きな展示室で開催される大規模個展の公式図録兼書籍。展覧会では大巻の代表的シリーズ〈Liminal Air〉〈Gravity and Grace〉をかつてない規模に拡大した最新インスタレーションが公開される。本書では、同シリーズの近作を多数掲載し、最新作への大巻の軌跡をたどる。 また、展覧会では世界を揺るがせたパンデミックのさなかに制作が始められた映像が発表される。本書では、新作映像のスチールや、ドローイングなども掲載。身体と響きあうブックデザインで、大巻が創りあげる現代の総合芸術へと導く。国立新美術館展示の最新作ポスター付。
「大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ」図録
サイズ:29.7 × 22.5 × 1.4 cm
ページ数:140ページ
言語:日英バイリンガル
価格:3,080円(税込)
著者:大巻伸嗣
監修:国立新美術館
出版社:求龍堂
※図録はオンラインショップ(大手通販サイト等)でも販売中です。全国の書店でも順次販売を開始いたします。
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