テート美術館展 光 ― ターナー、印象派から現代へ
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- 開催終了
- 企画展
本展は、英国・テート美術館のコレクションより「光」をテーマに作品を厳選し、18世紀末から現代までの約200年間におよぶアーティストたちの独創的な創作の軌跡に注目する企画です。
「光の画家」と呼ばれるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーや風景画の名手ジョン・コンスタブルといった英国近代美術史を彩る重要な画家たちの創作、クロード・モネをはじめとする印象派の画家たちによる光の描写の追求、モホイ=ナジ・ラースローの映像作品やバウハウスの写真家たちによる光を使った実験の成果、さらにブリジット・ライリー、ジェームズ・タレル、オラファー・エリアソン等の現代アーティストによってもたらされる視覚体験にまで目を向けます。
本展では、異なる時代、異なる地域で制作された約120点の作品を一堂に集め、各テーマの中で展示作品が相互に呼応するようなこれまでにない会場構成を行います。絵画、写真、素描、キネティック・アート、インスタレーション、さらに映像等の多様な作品を通じ、様々なアーティストたちがどのように光の特性とその輝きに魅了されたのかを検証します。
開催概要
- 会期
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毎週火曜日休館
- 開館時間
10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※9/25(月)、9/27(水)、9/28(木)、10/1(日)は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで- 会場
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国立新美術館 企画展示室2E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 - 主催
国立新美術館、テート美術館、日本経済新聞社、テレビ東京、BSテレビ東京、TBS、BS-TBS
協賛
ウェッジウッド、大林組、関彰商事、SOMPOホールディングス、ダイキン工業、DNP 大日本印刷、大和証券グループ、三井不動産、横河電機協力
日本航空、フィナンシャル・タイムズ後援
ブリティッシュ・カウンシル- 観覧料
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(税込)
当日 2,200円(一般)、1,400円(大学生)、1,000円(高校生) 前売 2,000円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生) - 中学生以下は入場無料。
- 障がい者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は入場無料。
- 7月15日(土)~17日(月・祝)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)。
- 本展は事前予約不要です。チケットの詳しい情報は、展覧会ホームページのチケット情報をご覧ください。
- 学校等の教育活動でのご来館についてはこちらをご覧ください。
- 8月26日(土)と9月3日(日)に、視覚に障がいのある方と会話しながら作品を鑑賞するワークショップを展示室内で実施します。詳しくはこちらをご覧ください。(参加者募集は終了しています。)
- 会期中に当館で開催中の他の企画展および公募展のチケット、またはサントリー美術館および森美術館(あとろ割対象)で開催中の展覧会チケット(半券可)を国立新美術館チケット売場で提示された方は、本展覧会チケットを100円割引でご購入いただけます。
- 国立美術館キャンパスメンバーズ加盟の大学等の学生・教職員は本展覧会を学生1,200円、教職員2,000円でご覧いただけます。国立新美術館チケット売場でお求めください。
- その他の割引などお得な情報はこちらをご覧ください。
- 会場での観覧券購入に次のクレジットカードと電子マネー等がご利用いただけます。クレジットカード:UC、MasterCard、VISA、JCB、AMEX、Diners Club、DISCOVER 電子マネー:Suica(スイカ)、PASMO(パスモ)、ICOCA(イコカ)等、iD その他:J-Debit、銀聯
- 巡回情報
大阪:大阪中之島美術館、2023年10月26日(木)~2024年1月14日(日)
- お問合せ
050-5541-8600(ハローダイヤル)
みどころ
作品リスト
テート美術館展 光 作品リスト(中国語・韓国語)[650 KB]01: 光とアートをめぐる200年の軌跡を体感
数えきれない表情をみせる「光」をどう作品で描くのか。
新たな芸術表現を追求するアーティストたちはこの難解なテーマに向き合ってきました。本展では18世紀末から現代までの光をめぐる表現や技法の移り変わりを明らかにします。ウィリアム・ブレイクやターナー、コンスタブルから、モネなどの印象派、そしてジェームズ・タレル、オラファー・エリアソン、草間彌生ら現代アーティストまで、時代や地域、ジャンルを超えて「光の作品」を俯瞰できる会場構成です。多様な光の表現に包まれる空間にご期待ください。
02: 英国・テート美術館から100点が日本初出品
本展では英国・テート美術館の7万7千点以上のコレクションから、「光」をテーマに厳選した約120点を展示します。
このうちおよそ100点が日本初出品! ターナーの死後に寄贈された世界最大級のコレクションから《光と色彩(ゲーテの理論)—大洪水の翌朝—創世記を書くモーセ》が初来日します。また本展は中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランドで話題となってきた世界巡回展です。最終会場となる日本では、エドワード・バーン=ジョーンズ、マーク・ロスコなど人気作家による12点が限定で出品されます。ゲルハルト・リヒター《アブストラクト・ぺインティング(726)》は日本初出品かつ日本特別出品作です。
03: 光に包まれる注目インスタレーション
会場には光を用いた大型インスタレーション(空間芸術作品)も登場します。いずれも日本初出品となるジェームズ・タレル《レイマー、ブルー》やオラファー・エリアソン 《星くずの素粒子》が作り出す光の空間をご体感ください。
作品紹介
Chapter1 精神的で崇高な光
17世紀から18世紀にかけて欧州は理性と秩序を重んじる啓蒙の時代を迎えました。芸術表現にも共通する潮流となりましたが、個人の主観や感性を重視するロマン主義の画家たちはこうした価値観に疑問を抱き、精神世界への関心を次第に強めていきます。光と陰のドラマチックな効果を生かすことで人の内面や精神性に迫り、さらには予測できない出来事への畏敬の念を絵画で表現しようとしました。
ロマン主義の先駆者、英国の画家ウィリアム・ブレイク(1757–1827年)は《アダムを裁く神》で自らの想像上の神に後光が差すような表現を取り入れ、その姿に威厳や権威を持たせました。人の内面性を描こうとする姿勢は、19世紀末に登場する象徴主義の画家たちの思想にも重なります。例えば英国のエドワード・バーン=ジョーンズ(1833–98年)は《愛と巡礼者》で光と陰による対比的な効果を用いて、作品に強い神秘性をもたらしました。
Chapter2 自然の光
移りゆく自然の光のきらめきを瞬間的にとらえ、いかに芸術作品で表現するか。この難解なテーマへの挑戦に多くの画家たちは魅せられてきました。「光の画家」と呼ばれる英国のジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775–1851年)が描く光は明確な輪郭線を持たず、ぼんやりとしていて周囲の自然に溶け込んでいます。これに対し、同時代に活躍したライバルのジョン・コンスタブル(1776–1837年)は、卓越した画力と構成力によって自然の風景を描き出すことを追求しました。《ハリッジ灯台》は大空で移りゆく雲や大気の様子などが作品の面積のほとんどを占め、光の加減とともに雲が変化する様子を細密に描写しています。変化する自然の風景をとらえようとする姿勢は、後の印象派へと連なっていきます。
18世紀後半に始まった産業革命により、欧州では交通網が発達。19世紀半ば以降、都市を活動の拠点にしていた多くの画家たちが自然風景を描く機会を得て、自然の光をどのようにカンヴァス上に再現するかがテーマになりました。神話や聖書といった従来のテーマから離れ、目に見える現実の世界を描こうとする機運が高まります。自然の光を捉えようとするコンスタブルの手法は、航海の経験を積んだ英国出身のジョン・ブレット(1831–1902年)の《ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡》にもつながります。フランス印象派のクロード・モネ(1840–1926年)の《エプト川のポプラ並木》では光のきらめきが周囲と溶け合う様子が見て取れます。米国出身で、ロンドンで活躍したジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー(1834–1903年)も《ペールオレンジと緑の黄昏–バルパライソ》で空に浮かぶ雲や海を主題に、光に照らされたときの色の繊細な移り変わりを再現しました。
現代を代表する作家の一人、草間彌生による《去ってゆく冬》では鏡が素材として用いられ、光の反射や屈折の効果を特徴としています。こうした光の表現は自らの精神世界を見つめる作家の創造において重要な意味を持っています。
Chapter3 室内の光
都市の近代化がさらに進んだ19世紀末からは、室内というプライベート空間をどう描くかにアーティストたちの関心は広がりました。窓から入ってくる光の効果などを作品に取り入れることで、人同士の心のつながりや、個人の内面を鮮やかに映し出そうとする試みが相次ぎました。
英国のウィリアム・ローゼンスタイン(1872–1945年)の《母と子》は親子の何げない日常を描いた作品ですが、2人の親密な関係性を裏付けるために柔らかな光を用いています。これとは対照的に、デンマークの画家ヴィルヘルム・ハマスホイ(1864–1916年)の《室内》は暗めの色づかいに統一しており、淡い光を効果的に描くことで室内の静けさ、空気の冷たさなどの感覚を観る人に与えています。
Chapter4 光の効果
光に対して科学的な関心を抱き、アーティストたちは実験的な芸術表現をするようになりました。1830年代における写真技術の発明は、光の特性と効果を生かす革新的な方法をもたらしました。19世紀後半には写真技術はさらに発展し、光そのものを表現手段として用いた芸術の実験が広がりました。
1919年にドイツの都市ワイマールに造形芸術学校「バウハウス」(1925年デッサウに、1932年ベルリンに移転。1933年ナチスによって閉校)が開校すると、世界各地から集まってきたアーティストたちは、人の目を通した現実とは異なる世界を把握する手段として写真を認識するようになりました。円や四角などの抽象的な物体を被写体に選び、光と影のイメージを純粋に捉える方法を模索したのです。この時期、動く光を用いた動的な写真表現も誕生しました。
Chapter5 色と光
美術と工芸、デザインの総合的な教育を目指したバウハウスでは、幾何学的な形態を用いて光と色の関係を考察するアーティストたちが大きな足跡を残しました。
その一人であるドイツ出身のヨーゼフ・アルバース(1888–1976年)は、色は周辺の色との関係によって見え方が変わることを追究し、幾何学的な造形の中に色を配置することで、ある色の面が手前に見えたり、一方で奥に見えたりするといった現象が起きることを示しました。同じくバウハウスに招聘されたハンガリー出身のモホイ=ナジ・ラースロー(1895–1946年)、ロシア出身で、のちにドイツで活躍するワシリー・カンディンスキー(1866–1944年)も色同士の関係性が生み出す視覚的効果を探求しました。
この視点は、第二次世界大戦後の抽象画家の最も重要なテーマの一つでもありました。1960年代半ば、英国の画家ブリジット・ライリー(1931年–)は、様々な色の四角形や線を規則的に配置することで鑑賞者に錯覚をもたらす作品を発表しました。それ以降、ライリーの作品は私たちに絵画表現における光と色の関係を問い続けています。
Chapter6 光の再構成
19世紀半ばに発明された電球は、20世紀に入ると人々の生活に浸透するとともに、産業の発展と多様化に伴い広告にも利用されるようになりました。こうした時代背景もあり、第二次世界大戦後のアーティストたちは光との新たな関係性を見出してきました。
米国のダン・フレイヴィン(1933–96年)は1963年から、蛍光灯を壁に直接設置して空間全体の視覚イメージを変化させるインスタレーション作品を制作するようになりました。英国で生まれたデイヴィッド・バチェラー(1955年–)は1990年代初頭から、都市生活を送る人々が光と色をどのように経験するのかに着目するようになります。色鮮やかなライトボックスを用いた作品《ブリック・レーンのスペクトル 2》は鑑賞者に都市を想起させることを試みています。英国出身のジュリアン・オピー(1958年–)は《トラック、鳥、風》で、自らが撮影した自然や都会の風景をデジタル加工し、アニメやコンピューターゲームの画面を思わせる視覚世界を展開しています。
Chapter7 広大な光
多様な表現を試みる現代美術でも、光は重要なテーマであり続けています。科学技術の発展によって、はるか遠い宇宙の景色、さらには絶えず変化する地球の全体像を目にすることが可能になりました。大学で知覚心理学を学び、飛行機を自ら操る米国出身のジェームズ・タレル(1943年–)は光をどのように経験するかという問いのもと、光が鑑賞者を包み込むインスタレーション作品を1960年代半ばから制作してきました。
気候変動に強い関心があるデンマーク出身のオラファー・エリアソン(1967年–)にとっては、人々が周りの環境とどのように関わるのかは制作における重要なテーマです。《星くずの素粒子》では、鑑賞者は多面体に反射する光に満たされた空間に身を置くことで、自らの行動がどのように世界に作用するのかを意識することができるのです。
関連図書
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