展覧会概要
国内外で活躍する日本の現代美術家6名によるグループ展を開催いたします。本展に参加する6名の作家は1950年代から1980年代生まれまでと幅広く、表現方法も映像や写真を用いたインスタレーションをはじめとして多岐にわたります。これら作家に共通するのは、作品のうちに文学の要素が色濃く反映されていることです。
古代ローマの詩人ホラティウスが『詩論』で記した「詩は絵のごとく」という一節は、詩と絵画という芸術ジャンルに密接な関係を認める拠り所として頻繁に援用されてきました。以来、詩や文学のような言語芸術と、絵画や彫刻のような視覚芸術との類縁関係を巡る議論は、さまざまな時代と場所で繰り広げられてきました。
展覧会タイトルが示唆するように、本展では文学をテーマに掲げています。ですが、ここでの文学は、一般に芸術ジャンル上で分類される文学、つまり書物の形態をとる文学作品だけを示すわけではありません。現代美術において、文学はこうした芸術ジャンルに基づく区別とは違ったかたちで表れているように思われます。日本の現代美術における文学のさまざまな表れ方を経験していただければ幸いです。
会期 | 2019年8月28日(水)~11月11日(月) 毎週火曜日休館 ※ただし、10月22日(火・祝)は開館、10月23日(水)は休館 |
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開館時間 | 10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は、8・9月は21:00まで、10・11月は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 企画展示室1E 〒106-8558東京都港区六本木7-22-2 |
主催 | 国立新美術館 |
観覧料(税込) |
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お問合せ | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
出品作家
北島敬三 Keizo Kitajima
1954年長野県生まれ、東京都在住。
1975年に「ワークショップ写真学校」森山大道教室に参加して以降、写真家として活動を始める。同年に訪れた沖縄のコザで撮影されたスナップショットは、後に東京、ニューヨーク、東欧、ソ連においても行われるシリーズへと展開される。1992年からは白い衣装を身に纏った人物を定点観測するかのように撮影する「PORTRAITS」のシリーズを開始、今日まで継続されている。また2014年からは、日本各地を撮影した風景写真のシリーズ「UNTITLED RECORDS」の制作を行う。1983年第8回木村伊兵衛写真賞を受賞。写真家が共同運営する新宿の「photographers’ gallery」(2001年設立)で定期的に作品を発表している。2009年に東京都写真美術館で個展「北島敬三 1975-1991 コザ/東京/ニューヨーク/東欧/ソ連」を開催。
小林エリカ Erika Kobayashi
1978年東京都生まれ、同地在住。
目に見えない物、時間や歴史、家族や記憶をモティーフとして作品を手掛ける。著作には、小説『マダム・キュリーと朝食を』(集英社、2014、第27回三島由紀夫賞候補と第151回芥川龍之介賞候補にノミネート)、放射能の科学史を巡るマンガ『光の子ども1, 2』(リトルモア、2013、2016)、などがある。近年では映像、ドローイング、テキストを交えたインスタレーションも多数発表している。近年の展覧会に、個展「野鳥の森1F」(Yutaka Kikutake Gallery、東京、2019)、「Trinity -トリニティ-」(軽井沢ニューアートミュージアム、長野、2017)、グループ展「Harsh Astral. The Radiants II」(Galerie Francesca Pia、チューリヒ、2018;Halle für Kunst、リューネブルク、2018)、「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」(森美術館、東京、2016)など。
ミヤギフトシ Futoshi Miyagi
1981年沖縄県生まれ、東京都在住。
映像、写真、オブジェクト、テキストなどを用いて、社会政治的事象、とりわけセクシュアリティとマイノリティの問題を俎上に載せた作品を手掛ける。沖縄で沖縄人男性とアメリカ人男性が恋に落ちることは可能か、という問いとともに2012年から始まった現在進行中のプロジェクト「American Boyfriend」は、写真、映像、テキストなどによる一連の作品とブログによって構成されるもの。著書に小説『ディスタント』(河出書房新社、2019)がある。2019年第44回木村伊兵衛写真賞にノミネート。近年の展覧会に、個展「いなくなってしまった人たちのこと / The Dreams That Have Faded」(CAI02、北海道、2018)、グループ展「小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家 vol.15」(東京都写真美術館、東京、2018-19)など。
田村友一郎 Yuichiro Tamura
1977年富山県生まれ、京都府在住。
既存のイメージやオブジェクトを起点にしたインスタレーションやパフォーマンスを手掛ける。従来の美術の領域にとらわれない独自の省察の形式を用いて、特権的な現代美術の観客へのメッセージを意図するだけでなく、観客とのあいだに特異なコミュニケーションをもたらす。土地固有の歴史的主題から身近な大衆的主題まで着想源は幅広く、現実と虚構を交差させつつ多層的な物語を構築する。近年の展覧会に、個展「叫び声/Hell Scream」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都、2018)、「G」(Yuka Tsuruno Gallery、東京、2018)、グループ展「美術館の七燈」(広島市現代美術館、広島、2019)、「わたしはどこにいる? 道標をめぐるアートとデザイン」(富山県美術館、富山、2019)、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」(森美術館、東京、2019)など。
豊嶋康子 Yasuko Toyoshima
1967年埼玉県生まれ、同地在住。
ソロバン、サイコロ、安全ピンなどの既製品、あるいは鉛筆、油絵具、木枠など美術に馴染みのある物質など幅広い素材に手を加え、これら事物の中に複数の見え方が表出する作品を手掛けている。社会の制度における人間の思考モデルを抽出し、そのモデルに構造的に対応する体系を作品のうちで構築する。その一方で、株式の購入や銀行口座の開設を繰り返し行い、名義人である作家の主体性を個人的なものから集合的なものへと変容させ、日常生活において固定された行為と共有された役割の既成関係を問い直す一連のプロジェクトも行っている。近年の展覧会に、個展「ステンレス鋼」(M画廊、栃木、2018)、グループ展「メルド彫刻の先の先」(Maki Fine Arts 、東京、2018)、「世界に対する知と信」(駒込倉庫、東京、2018)など。
山城知佳子 Chikako Yamashiro
1976年沖縄県生まれ、同地在住。
写真、映像、パフォーマンス、インスタレーションによって沖縄における米軍基地や戦争の問題を掘り下げ、接触と分離、継承と断絶、中心と周縁、生と死などの概念の境界を問い直してきた。近年ではそれら問題を沖縄だけでなく世界中に遍在する普遍的な歴史の問題とみなし、史実や伝承されてきた物語を引用した作品を手掛けている。近年の展覧会に、「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2018」(京都芸術センター、京都、2018)、「Asia Pacific Breweries Foundation Signature Art Prize 2018」(シンガポール国立博物館、シンガポール、2018)、「From Generation to Generation: Inherited Memory and Contemporary Art」(ユダヤ現代美術館、サンフランシスコ、2016-17)など。第64回オーバーハウゼン国際短編映画祭ゾンタ賞(2018)、Asian Art Award 2017 supported by Warehouse TERRADA大賞(2017)。
関連イベント
アーティストトーク:国立新美術館 3階講堂(定員260名:先着順、申込不要)
アーティストトーク:ミヤギフトシ
出演者 | 植本一子(写真家)、長島有里枝(写真家)、ミヤギフトシ(本展出品作家) |
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日時 | 2019年9月14日(土)18:00~20:00 (17:30開場) |
アーティストトーク:北島敬三
出演者 | 倉石信乃(詩人・評論家、明治大学教授)、橋本一径 (表象文化論、早稲田大学教授)、北島敬三(本展出品作家) |
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日時 | 2019年9月22日(日)14:00~16:00 (13:30開場) |
アーティストトーク:豊嶋康子
出演者 | 林道郎(美術史家・批評家、上智大学教授)、松浦寿夫(画家・批評家、武蔵野美術大学教授)、豊嶋康子(本展出品作家) |
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日時 | 2019年10月20日(日)14:00~16:00 (13:30開場) |
タムラの空耳アワー
出演者 | 第一幕: 郷原佳以(フランス文学、東京大学准教授)、米田尚輝(本展企画者、国立新美術館主任研究員) 第二幕: 三遊亭歌太郎(落語家) 第三幕: 家成俊勝(建築家、dot architects)、西澤徹夫(建築家、西澤徹夫建築事務所)、田村友一郎(本展出品作家) |
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日時 | 2019年10月22日(火・祝)14:00~16:00(13:30開場) |
アーティストトーク:小林エリカ
出演者 | 西加奈子(作家)、山崎ナオコーラ(作家)、小林エリカ(本展出品作家) |
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日時 | 2019年10月26日(土)17:00~19:00 (16:30開場) |
ギャラリートーク:国立新美術館 企画展示室1E(申込不要)
出演者 | 豊嶋康子(本展出品作家) |
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日時 | 2019年9月15日(日)14:00~15:00 |
出演者 | 小林エリカ(本展出品作家) |
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日時 | 2019年9月21日(土)14:00~15:00 |
出演者 | 小原真史(映像作家・キュレーター)、北島敬三(本展出品作家) |
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日時 | 2019年10月5日(土)16:00~17:00 |
注意事項(アーティストトーク・ギャラリートーク共通)
*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。
担当研究員による展覧会レクチャー:国立新美術館 企画展示室1E(展示室内入口付近集合)(申込不要)
日時 | 2019年10月11日(金)18:00-18:30 2019年10月17日(木)14:00-14:30 2019年11月08日(金)18:00-18:30 |
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*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は場合により変更になる可能性があります。あらかじめご了承ください。
「話しているのは誰?現代美術に潜む文学」展関連プログラム
視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ
障がいの有無、見え方、考え方などさまざまな違いを持った人が、7人程度のチームとなって「話しているのは誰?現代美術に潜む文学」展を鑑賞し、作品や空間について「見えていること」「見えていないこと」を言葉にしながら、お互いに印象や感想、考えを自由に語り合う約2時間のプログラムです。障がいの有無に関わらず、どなたでもご参加いただけます。
日時 | 2019年10月6日(日) 第1回 11:00~13:00 第2回 15:00~17:00 |
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会場 | 国立新美術館 企画展示室1E |
対象 | どなたでも |
定員 | 各回14名(事前申し込み制) |
参加費 | 無料 ※ただし、本展の観覧券が必要です。 ※障がい者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は観覧券不要です。 |
協力 | 視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ |
申し込み方法 | ご参加には事前申し込みが必要です。 メールに以下の項目を明記のうえ、workshop20191006@nact.jpまでお申し込みください。メールの件名は「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」としてください。 (1) 参加希望の回 (2) お名前、よみがな、年齢 (3) 電話番号 (4) メールアドレス (5) 障がいの有無と種別 (6) 当日同行する介助者の有無 (7) 盲導犬(アイメイトも含む)の有無 (8) 参加動機 申し込み締切:9月24日(火)17:00 ※複数名で申し込む場合は、(2)(5)(6)(7)の項目に全員に関する情報をご記入ください。 ※乃木坂駅・六本木駅からのスタッフによる送迎が必要な方はその旨ご記入ください。 ※応募者多数の場合は抽選とさせていただきます。 ※参加の可否については、9月26日以降にEメールでご連絡します。 ※必要事項に記入漏れがある場合、受付をお断りすることがあります。 ※申込の際にご記入いただいた個人情報はワークショップ実施のために使用し、それ以外の目的で使用することはありません。 |
お問い合わせ | 国立新美術館 教育普及室(平日10:00~18:00) 電話:03-6812-9916 Eメール:workshop20191006@nact.jp |
話しているのは誰? 現代美術に潜む文学 図録販売
執筆者 米田尚輝
サイズ 25.8 x 18.7 x 2.7 cm
ページ数 287頁
言語 日英バイリンガル
価格 3,300円(税込)
発売日 2019年10月14日(月・祝)
制作・発行 美術出版社デザインセンター/国立新美術館
販売場所 国立新美術館ミュージアムショップ
「スーベニアフロムトーキョー」
Amazonにて通信販売もおこなっています。https://www.amazon.co.jp/dp/4568105226
但し、販売価格は上記美術館ミュージアムショップ販売価格とは異なりますのでご了承ください。