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カルティエ、時の結晶

  • 開催終了
  • 企画展

展覧会概要

カルティエの作品は1995年、2004年、2009年の展覧会を通して日本で紹介されてきました。1989年以降、日本だけでなく世界各国の主要美術館においてそのコレクションが展示紹介されてきたことは、数あるメゾンの中でも特筆されることです。
過去におけるこうした展示は、いわゆる「カルティエ コレクション」の歴史的な作品を対象としてきましたが、本展は1970年代以降の現代作品に焦点を当て、その創作活動における革新性、現代性、独自性を、メゾンが築き上げてきた創作の歴史を背景に表現する世界でも初めての試みです。

本展では、「時間」をテーマに、「序章」に続く「色と素材のトランスフォーメーション」「フォルムとデザイン」「ユニヴァーサルな好奇心」という3つの章で、カルティエのイノヴェーションに満ちたデザインの世界を探求します。壮大な時間を経て生成され奇跡的に見出された宝石と、世界各地の文化や自然物など万物から着想を得たデザインが、卓越した職人技術によって結実したカルティエの宝飾。それは世界の縮図であり、地球や文明との時空を超えた対話であるといえるでしょう。
時間を自由に往来し、素材に秘められた可能性を探求することによって、色彩や線、フォルムなど、伝統を継承しつつも、常に宝飾界に新しい風を吹き込み続けるカルティエの想像力に満ちた美の秘密を紹介します。

そして、会場構成を手がけるのは新素材研究所 / 杉本博司+榊田倫之。
「旧素材こそ最も新しい」という理念のもと、伝統的な職人の技術と最新技術とを融合させ現代的なディテールで仕上げる彼らのデザインが、「時」を意識し回遊する展示空間を創出し、新たな鑑賞体験を提示します。

会期 2019年10月2日(水)~12月16日(月)
毎週火曜日休館
※ただし、10月22日(火・祝)は開館、10月23日(水)は休館
開館時間 10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
会場 国立新美術館 企画展示室2E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
主催 国立新美術館、日本経済新聞社
特別協力 カルティエ
後援 在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
協賛 大成建設、山元
協力 川島織物セルコン、宇都宮市/大谷石材協同組合、ジオネクサス、SALIOT、ザ・ユージーン・スタジオ
会場構成 新素材研究所

beyond2020プログラム

観覧料(税込)
当日 1,600円(一般)、1,200円(大学生)、800円(高校生)
前売/団体 1,400円(一般)、1,000円(大学生)、600円(高校生)
    • 中学生以下は入場無料。
    • 障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
    • 11月2日(土)~4日(月・休)は高校生無料観覧日(学生証の提示が必要)。
    • 前売券は2019年7月3日(水)~10月1日(火)まで販売。ただし、国立新美術館では9月30日(月)まで。

  • チケット取扱い:国立新美術館(開館日のみ)、展覧会ホームページほか、各種プレイガイド(手数料がかかる場合があります)
  • チケットの詳しい情報は、展覧会ホームページのチケット情報をご覧ください。
  • 団体券は国立新美術館でのみ販売(団体料金の適用は20名以上)。
  • 会期中に当館で開催中の他の企画展および公募展のチケット、またはサントリー美術館および森美術館(あとろ割対象)で開催中の展覧会チケット(半券可)を提示された方は、本展覧会チケットを100円割引でご購入いただけます。
  • 国立美術館キャンパスメンバーズ加盟の大学等の学生・教職員は本展覧会を団体料金でご覧いただけます。
  • その他の割引などお得な情報はこちらをご覧ください。
  • 会場での観覧券購入に次のクレジットカードと電子マネー等がご利用いただけます。
    クレジットカード:UC、MasterCard、VISA、JCB、AMEX、Diners Club、DISCOVER
    電子マネー:Suica(スイカ)、PASMO(パスモ)、ICOCA(イコカ)等、iD その他:J-Debit、銀聯
お問合せ 03-5777-8600(ハローダイヤル)

展覧会の構成

序章 時の間 ミステリークロック、プリズムクロック

「時計製造の奇跡」と称されたミステリークロックは光と目の錯覚を巧みに利用した作品です。ミステリークロックの2本の時計の針はあたかも機械とは全く繋がりがないかのように宙に浮かんで見えます。ムーヴメントは台座や装飾彫刻の中に隠されているのです。
制作には時計師のほか、金銀細工師、エナメル職人、研磨師など、多くの専門家が携わり、完成までに最低でも数ヶ月を要します。ミステリアスな仕組みが解明された今日もなお、ミステリークロックは古びない表現で制作され、芸術品として珍重されています。

第1章 色と素材のトランスフォーメーション

メタルの技術:プラチナ
19世紀末、カルティエによる最初の「ガーランドスタイル(花手綱様式)」が登場します。ティアラやネックレス、ブローチなどに多く見られるこの優雅なデザインを可能にしたのは、プラチナという素材でした。
それまで石の固定に使用されてきたのはシルバーとゴールドでした。しかし、それらは軟らかいがゆえに多くの量を必要とし、ジュエリーを重たく見せ、さらに銀は時がたつと黒ずんでしまいます。反対に、プラチナはより硬質で、花枝や蝶結び、レースの透かし模様などの繊細な作品に適しています。
プラチナの混じり気のない白さと表面の輝きは、当時のダンスホールに導入され始めた電灯光を反射して、ダイヤモンドを眩いほどに引き立てたのです。

石の技法:グリプティック
「グリプティック」と呼ばれる硬石彫刻は、翡翠、ジャスパー、クォーツ、珪化木(化石化した木)などの非常に硬い石に直接彫刻を施す技法です。気が遠くなるほど長い年月の眠りから掘り起こされた石に新たな形態が与えられ、天然の色彩と文様が吟味された後、彫りが開始されます。掘り出された石の個性が制作の出発点となるのです。
今日伝承の危機に直面するこの技術を次世代に継承するべく、カルティエは尽力しています。「グリプティック」は、エングレーヴィングやストリンギングと同様、幅広いジュエリーデザインの可能性を支える技術の一つなのです。

職人技と装飾技術:象嵌
「マルケトリ」と呼ばれる象嵌加工は、ヨーロッパにおいて古くから家具や調度品に使われてきた伝統的な技法です。カルティエはこれと同じ手法を用いて、薄くスライスしたラピスラズリとトルコ石を幾何学的に貼り合わせ、シガレットケースのおもて面を飾りました。近年は時計のダイアルの装飾にもこの技術を用いています。

カルティエのカラーパレット:「トゥッティフルッティ」 
木の葉、花、果実を想像させる彫刻がほどこされたルビー、エメラルド、サファイア。それらが織りなす豊潤な色彩の競演。この極めて華やかなスタイルは、インドからのインスピレーションを基にしています。宝石をダイヤモンドドリルヘッドで彫刻する手法は16世紀のムガル帝国にまで遡ります。1970年代以降「トゥッティフルッティ(フルーツづくしの意)」と呼ばれるようになりました。

第2章 フォルムとデザイン

エッセンシャルライン
カルティエが求めるのは、デザインを通じてクリエイションの本質を引き出すことです。宝石を組み合わせたり、さまざまなカットを用いたりすることでデザインが構築され、リズムが生まれ、構成における抽象性に宿るパワーが解き放たれます。ラインの持つ生き生きとした動きは、水の流れや煙の渦といった自然界の現象を再解釈する手掛かりももたらします。また時計製作においては、ケースのラインから生まれるフォルムとヴォリュームのハーモニーがデザインの主軸となります。

球体
カルティエのジュエリーデザインを象徴する形態としての球体。それはデザインの立体感を際立たせるものなのです。色石やゴールドのビーズで作られた球体は、ジュエリーの建築的側面を強調し、あるいは工業製品や甘い果実を連想させたり、予期せぬ喚起力を解き放つのです。

ニューアーキテクチャー:ジオメトリック
カルティエはジュエリーのスタイルにおいて重要なテーマの一つであるヴォリューム(立体感)について、つねに考え続けています。フォルムは、ジュエリーの立体感が際立つよう計算された構図と互いに補い合うようにして、ジュエリーの世界を築き上げています。装飾を極力省いた機能的なフォルムと、赤と黒などバイカラーの明快な色彩の対比に徹した1920年代のアール・デコの室内装飾から、構成主義的建造物の合理的なライン、現代の都市空間にそびえる超高層ビルディング、さらには近未来を予感させる有機的かつ流動的な造形まで、それぞれの時代を象徴する建築のディテールやフォルムは、ジュエリーの構造的なデザインに重要なインスピレーションを与え続けています。

オプティック(視覚的効果):モーションとキネティック
視覚との戯れ─カルティエは「動き」というテーマを追求しています。ジュエリーを静止した状態から解放するには? 構図にリズムをもたらすには? ─これらの問いにカルティエはキネティックアートから借用した視覚的効果で答えます。
 正確で張りのあるライン、幾何学的なフォルム、鏡のような構造、色のコントラスト、黒と白の対置……いくつもの効果を駆使したデザインは視覚を揺さぶり、動きを感じさせるものになります。

アクシデント:意図されたカオス
偶然の出来事さえも、カルティエは創造につなげます。あるとき、顧客の一人が自動車に踏み潰された腕時計を工房に持ち込んだのです。しかしこの歪んだ腕時計をヒントに、1967年、まるでシュールレアリスム絵画のような《クラッシュ ウォッチ》が誕生したのです。

日常の中にある美:インダストリアルモティーフとクチュールモティーフ
日常的なオブジェや一見宝飾の世界とは無縁の工業製品が、型破りのデザインに取り入れられることがあります。カルティエは釘やボルト、パイプ、ベルトのバックル、リボン、ボタンなど、工業やクチュールの世界からも大胆なデザインのインスピレーションを汲み上げ、私たちを取り巻く世界の見方を変えてきたのです。

第3章 ユニヴァーサルな好奇心

カルチャー ―外の世界からもたらされたもの:日本
1世紀以上にわたるカルティエの記録には多くの地名が刻まれています。各地を象徴する様式や文様はインスピレーションをもたらし、メゾン独自のデザインと融合されてきました。日本もまた、カルティエの異国趣味の対象の一つでした。絵画におけるジャポニスムの流行と同様、浮世絵に描かれる梅や桜の木、あるいは印籠や根付などの瀟洒(しょうしゃ)な工芸品が、ブレスレットなどのデザインへと翻案されました。

自然からのインスピレーション─写実から抽象へ:フローラ/鳥/爬虫類/タイガー
自然界、つまり動植物ほど神秘に満ちた造形はありません。カルティエは、自然が生み出した奇跡の姿を、ある時は写実的に、またある時は抽象的に解釈してきました。

パンテール タイムレスな象徴

1914年にブレスレット ウォッチのデザインとして初めて登場して以来、パンテールはカルティエのモティーフにおいて新しい時代の女性と自由を象徴してきました。
パンテールの肢体は、変幻自在な意匠として抽象や具象、また二次元や三次元で表現され、継承されています。
肉食動物でありながら官能的で、遊び心も持ち合わせる─パンテールは、身に着ける人の性格や態度を表現するカルティエのタイムレスな象徴と言えます。

トレジャーピース

本展の会場構成を手がけた「新素材研究所」杉本博司の美意識で今回の展示のために組み合わせた、日本の古美術と本展のハイライトとなるジュエリーを展示します。時の荒波をくぐり抜けてきたものに宿る日本独特のすがれた美と、ヨーロッパ文化に根づき洗練を極めた宝飾芸術とがどのように響き合うでしょうか? 果てしない時を経て邂逅した美の呼応が繰り広げられます。

カルティエ アーカイヴ ルイ・カルティエの好奇心

本展のアーカイヴセクションでは、1903年にパリ装飾美術館で行われた「イスラム美術展」のカタログなど、ルイ・カルティエが蒐集した資料を中心にアーカイヴ作品を展示します。ルイ・カルティエの世界観を体現した「キャビネ・ドゥ・キュリオジテ(好奇心の部屋)」は、過去と未来をつなぐ装置として存在し、このアーカイヴをとおして、カルティエの過去と未来は対話を続けているのです。ルイ・カルティエが収集した書籍やオブジェがカルティエのデザイナーのインスピレーションの源泉となった一方で、デザイン案はそれぞれのデザインの背後の創造プロセスや意図を明らかにしてくれます。これらの資料と向き合うことで、メゾンの探求心、創造精神を理解するきっかけが得られることでしょう。

出品作品リスト

関連イベント

オープニングフォーラム

日時 2019年10月3日(木)14:00-15:30(開場13:30)
会場 国立新美術館 3階講堂
出演者 本橋弥生(国立新美術館主任研究員、本展監修者)、ピエール・レネロ(カルティエ イメージ スタイル & ヘリテージ ディレクター )、榊田倫之氏(建築家、新素材研究所代表)
司会進行 井上昌之(日本経済新聞社文化事業局上席プロデューサー)
*日英同時通訳あり
*定員260名(先着順)
*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。

担当研究員による展覧会レクチャー

日時 2019年10月18日(金)18:00~18:45(開場17:30)
2019年11月06日(水)14:00~14:45(開場13:30)
会場 国立新美術館 3階講堂(申込不要)
*定員260名(先着順)
*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。

特別講演会「Style and Styles」

日時 2019年10月25日(金)14:00~15:30(開場13:30)
会場 国立新美術館 3階講堂(申込不要)
出演者 ピエール・レネロ氏(カルティエ イメージ スタイル & ヘリテージ ディレクター)
*英語による講演(英日同時通訳あり)
*定員260名(先着順)
*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。

アカデミックプログラム トークセッション

日時 2019年11月15日(金)18:30-19:30(受付18:00-)
会場 国立新美術館 3階 研修室A
出演者 筧康明(インタラクティブメディア研究者/メディアアーティスト、東京大学大学院情報学環准教授)
渡邉康太郎(Takramコンテクストデザイナー/マネージングパートナー、慶應義塾大学SFC特別招聘教授)
*定員30名(事前申込制)
(詳細はこちら をご覧ください)
*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。
*お飲み物と軽食をご用意いたします。

アカデミックプログラム トークセッション(学生向け)

日時 2019年11月22日(金)プログラム 18:00-19:00(受付17:30-) 懇親会 19:00-19:30(お飲み物と軽食をご用意いたします)
会場 国立新美術館 3階 研修室A
出演者 廣川玉枝(SOMA DESIGN クリエイティブディレクター)
渡邉康太郎(Takramコンテクストデザイナー/マネージングパートナー、慶應義塾大学SFC特別招聘教授)
*定員30名(事前申込制)
(詳細はこちら をご覧ください)
*学生限定のプログラムになります。
*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。

親子ワークショッププログラム

日時 2019年11月30日(土)
第1回 10:30~11:30(10:20開場)
第2回 13:00~14:00(12:50開場)
第3回 15:00~16:00(14:50開場)
会場 国立新美術館3階 研修室C
対象 小学生とその保護者
※「保護者」は父母、祖父母、知人等、成人の方であればどなたでも参加可能です。
定員 各回16組32名(事前申し込み制)
参加費 無料
※ただし、保護者の方は本展の観覧券(半券可)が必要です。
申し込み方法 詳細・申し込みはワークショップサイトをご確認ください。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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