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国立新美術館のお仕事探訪 ~インターンが聞く!バックヤードインタビュー~ Vol. 4 総務課:広報・国際室編

Vol. 4 総務課:広報・国際室編

インタビュイー:広報・国際室特定研究員

所属している広報・国際室での普段の業務を教えてください!

国立新美術館(以下、新美)では、いわゆる「企画展」と呼ばれているものと、「公募展」と呼ばれるものがありますが、広報・国際室では企画展の告知に関わる仕事が多いです。企画展は同じ時期に二つ開催されることもあれば、一つだけというときもあるんですが、展覧会ごとにメインとサブがついて二人体制で担当しています。その上に室長がいて、全体を見てくれています。

展覧会の開催日時が決定し、それが世の中に発表されてから開幕する前日までは、展覧会に合わせて様々なトピックのプレスリリースを出す準備をします。「音声ガイドが○○さんに決まりました」や「何点くらい出品されます」といった、プレスの方が注目してくれるようなニュースがある度に細かくリリースを出すときもありますし、まとめて一気に出す場合もあります。そのあたりは展覧会によって結構違いますね。

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△プレスリリースの校正作業の様子

展覧会が始まる前日には、プレス向けの内覧会があります。プレスの方々を招待して、展示風景を撮影したり、作家や監修者のお話を聞ける場を設けるものですね。展覧会開幕の数か月前に行われる記者発表会の段階でもニュース性はありますが、実際にどういう作品が展示されるのか、どのような展示構成になるのかなどは明かされないので、開幕前日の内覧会の方が反響は良いです。

日々の業務としては、SNSでの告知活動があります。新美アカウントの投稿文作成、英訳、写真撮影、編集を手分けして行っています。月に一度、新美のTwitter、Instagram、Facebook上で投稿した内容に、どういう反響があったかという数値を分析し、翌月以降の投稿に活かせるようにしています。

展覧会だけでなく、新美の建築や歴史にフォーカスした、美術館自体の広報も多いです。建築専門の媒体や、ファッション誌からも取材依頼がありますし、バリアフリーをテーマとした内容の取材を受けたこともありました。いろいろな切り口で新美の魅力を伝えられるんだなと、私たちも日々気づきがあります。

その他には、外観・内観の広報用の画像の貸し出しをしたり、各媒体が送ってくださるゲラの校正もしています。それから、森美術館さんとサントリー美術館さんと新美で連携し、半年に一度「六本木アート・トライアングルMap + Calendar」という印刷物を出版したり、毎年開催されている六本木アートナイトに関する広報も担当しています。

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△国立新美術館公式SNSへの投稿の様子

館の魅力を発信するための企画はどんなものがありますか?

2018年からSNSで「#新美tips」というハッシュタグをつけて投稿する企画を始めて、インターンさんにもネタを頂きながら続けています。新美の建築は写真に映えるのでそこにフォーカスがいきがちなんですが、私たちとしては、展覧会をはじめ、レストランやショップ、ライブラリーもあって一日中楽しめるという場所ということを伝えたいので、そういう視点を引き出したいと思っています。

SNSの画像
△SNSで発信する「#新美tips」

広報・国際室で働いてきて、印象に残っているお仕事は何ですか?

どの展覧会も印象深いですが、「古典×現代2020」展は印象深いです。初期段階からお話を伺っていて、すごく面白いなとワクワクしながら待っていました。しかし、展示室のセットアップが全て済んだところで緊急事態宣言が出されてしまい、開幕できるのかと毎日気をもんでいたのを覚えています。プレス内覧会はなんとか実施したものの、その後開幕の目途が立ちませんでした。結果的に、約3か月の延期し無事開幕できることになって、とても嬉しかったです。

学生のときは何を学ばれていましたか?

大学では仏文科で、フランス語を学んでいました。卒業論文ではフランスにおける結婚観というテーマで、歴史上どのように結婚観がうつりかわっていくのか、宗教等がどう関わっていたのかなどについて執筆しました。

専攻とは直接関係なかったのですが、美術はすごく好きでした。ミッションスクールに通っていたので、毎日の礼拝や聖書の授業を通して、キリスト教や西洋美術に興味を持つようになったと思います。

美術館で働くことになった経緯を教えてください!

あるとき、新美の広報・国際室の求人を見つけ、ダメもとで応募してみたところ採用していただけたので、2019年の7月から新美で働くことになりました。

美術館で働くというと、美術史専攻とか美大を出ていなくてはいけないと思い込んでいましたが、広報のポジションは、美術への関心があることは必要ですが、そういった知識より広報分野での実務経験や海外での勤務経験が求められていました。何度か転職を経て映画祭や国際会議、展示会、イベントなどの仕事を経験していたので、物事がゼロからできていく過程や、コミュニケーションについて学ぶことができたと思っています。

美術館に入る前も様々なお仕事をされていますが、その中で印象に残っていることはありますか?

2011年の東日本大震災直後の出来事が印象に残っています。フランスに本部がある国際イベントが6月に予定されていたんですが、3月という大詰めの時期に一週間くらい連絡がパタッと途切れてしまって。そして放射能の話もあって急遽東京はやめたよという連絡が入りました。私たちも様々な業者さんに発注済だったので、キャンセル料の交渉など辛い仕事もありました。でも、2013年にその団体が東京に戻ってきて無事に開催されたときに、主催チームのメンバーが一人一人やってきて、「あのときはみんなすごくよく頑張ったね」と労をねぎらってくれました。物事ができていく中で、国も言葉も関係なく、一つの目標に向かって仕事をしているということを実感しました。

今後新美でやりたいことはありますか?

教育普及室の取り組みと重なるかもしれませんが、社会人向けのレクチャーに興味があります。大人こそもっと美術館に来たらいいのではないかと日々思っていて。六本木という立地を活かして、仕事帰りの時間帯にイベントを開催したり、早朝のレクチャーみたいなものもやれたらいいなと思っています。

インターンを志望する方に向けて一言お願いします!

ご自分が大学や学校で専門的に勉強なさっていることは、やっぱり突き詰めるのが大切だと思います。でも、専門的になりすぎると、どんどん視野が狭くなっていってしまうので、自分の専門とは違うことをしている友人と会ったり、話を聞いたり、広い視野を持つことも大切です。

美術館で働きたいなと思ってくださっている方は、利用者であるという視点を忘れないように、他の館に行って感じたことや、自分とは違う立場のことを忘れないことが重要かなと思います。是非がんばってください。

【インタビュアー・編集】
石井まどか
2020年度教育普及室インターン生。慶應義塾大学美学美術史専攻4年(当時)。
学芸員資格取得中。好きな企画展は「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」(2020年)展。

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