本文へ

当サイトはお客様の利便性の向上等のため、Cookieを使用しております。
詳しくはプライバシーポリシーをご確認ください。

カレンダー

アクセス

国立新美術館のお仕事探訪 ~インターンが聞く!バックヤードインタビュー~ Vol. 3 学芸課:美術資料室編

Vol. 3 学芸課:美術資料室編

インタビュイー:美術資料室・坂口英伸アソシエイトフェロー

坂口さんが所属している美術資料室での普段の業務を教えてください!

美術資料室は、国立新美術館(以下、新美)の本館3階にあるアートライブラリーと、別館閲覧室の運営業務を担当しています。私は基本的には美術に関する資料の整理、保存、公開に従事するアーカイブスに携わっていますが、ライブラリー業務に携わることもあります。そのときによって比重はバラバラで、図書に関する業務を中心にやっているときもあれば、アーカイブス中心に動いているときもあります。

展覧会を中心とした華やかな印象を与える業務と比べたら、美術資料に携わる部署は目立ちませんが、学芸員達を支える業務でもあります。例えば、学芸員が展覧会を企画するにあたっていろいろな資料が必要になったときに、図書を提供したり閲覧に供したりという形で、展覧会事業にも貢献しています。

写真
△国立新美術館本館3階のアートライブラリー

新美はコレクションを持たない美術館ですよね。一般的な美術館とはお仕事内容が変わってくるのでしょうか?

国立新美術館は「コレクションを持たない」ことをコンセプトにしていますが、美術資料は積極的に集めていこうという指針をとっています。それも、ただ集めるだけではなく、整理して公開するというのが新美の美術資料室の目指しているところです。特に今は新型コロナウイルスの影響で作品の貸し借りが難しくなっていて、展覧会の成立が難しくなってきていますよね。他の美術館の場合だと、館が所蔵している作品でコレクション展ができますが、新美は美術作品を持っていないのでそういった展覧会ができません。そうしたときに、美術に関する資料を積極的に提供することで貢献したいと考えています。

写真
△国立新美術館に所蔵されている美術資料

学生時代から資料に関する仕事に興味を持っていたのですか?

大学では学部と修士課程で美術史を専攻しました。一方でアーカイブズ学にも興味がありましたので、国文学研究資料館が主催するアーカイブズ・カレッジ(長期コース)に通い、アーカイブズ学の基礎を学びました。そのため、就職するとなったら自然に美術館や博物館が候補に挙がってきたんです。

大学院修了後、新美に来る前は東京藝術大学の大学史を編纂する部署で働いていました。現在新美の美術資料室でやっている仕事と似ていて、大学に残っている資料を整理したり、資料を見たい人から連絡があれば閲覧に供したりという業務にあたっていました。学生時代から美術資料に興味があったので、私自身が学芸員になるというよりも、こういった美術資料を扱う仕事に携わるようになりました。ただ、大学以外での業務経験が自分には必要であると感じ、行政寄りの仕事にも興味があったので、国立新美術館に転職した次第です。

今まで取り組んだ中で一番印象的なお仕事はなんですか?

資料展示です。新美3階のアートライブラリーにガラスの展示ケースがあって、その中に資料を置いて公開するという試みで、主に別館にある所蔵資料を展示しています。その展示資料は予約しなければ見られないような貴重なものなのですが、それを自分で選んだテーマに沿って、ガラスケースに入れて公開したことが特に心に残っています。

写真
△所蔵資料展示の様子

坂口さんがメインで担当したのですか?

基本的に室長とアソシエイトフェローが資料展示を企画しています。資料展示のテーマというのも自分の関心に沿ってテーマを設定できるので、見た人から何かしらの反応があるととても嬉しかったです。私の専門が彫刻だったこともあり、主に彫刻をテーマに据えていました。アートライブラリーのカウンター担当者から、「お客さんが面白いって言ってたよ!」と伝え聞くのですが、誰かに共感してもらえるとやはりとても嬉しく感じます。

どのくらいの期間で準備、公開するのでしょうか?

それぞれのテーマによって準備に費やす時間というのは変わってきますが、準備は一か月くらい費やしていると思います。資料展示は年に4回くらいあり、そのうち1回はインターンの方が担当して、美術資料室で研修を受けた成果を発表する場として活用してもらっています。任期中に合計で7、8回程度やったと思います。展示を企画していくうちに次のテーマが見つかっていきますので、準備も含めて楽しい業務です。

インターン活動でできる業務は他になにがありますか?

美術資料室のインターン活動は大体5月から始まって、1~2月頃まで行います。年間約8か月間の30回程度のインターン活動のうちに、資料整理やリスト作成などをいろいろやってもらっていました。その集大成として、アートライブラリーで行われる資料展示を担当してもらっています。この他にも、司書資格を持つ職員と一緒に作業を行い、図書館業務も体験していただいています。

インターンを志望している方に一言お願いします!

インターンは美術館の仕事に直接的・間接的にかかわることができるとても貴重な機会ですので、積極的に応募してほしいと思います。もし美術館で働きたいのであれば、インターンやボランティアなどとして、現場の人といろいろな形で接点を持つことがとても重要だと思います。

【インタビュアー・編集】
石井まどか
2020年度教育普及室インターン生。慶應義塾大学美学美術史専攻4年(当時)。
学芸員資格取得中。好きな企画展は「MANGA都市TOKYO ニッポンのマンガ・アニメ・ゲーム・特撮2020」(2020年)展。

ページ上部へ

ページ上部へ