「日本の美術展覧会記録1945-2005」の概要
[目的]
このデータベース「日本の美術展覧会記録1945-2005」は、平成14年度文化庁委嘱事業「日本の美術展覧会開催実績1945-2000」報告書、同15年度文化庁委嘱事業「日本の美術展覧会開催実績2001-2003」報告書、同19年度国立新美術館「日本の美術展覧会開催実績2004-2005」報告書の合本『日本の美術展覧会開催実績1945-2005』(いずれも中島理壽氏監修)をもとに、国立新美術館が編集したものである。
[特徴]
本データベースの特徴として次の4点をあげることができる。
- 収録した美術展の多様さ。特別展や企画展だけでなく企画性の高い常設展、所蔵作品展なども採録した。
- 展覧会名に工夫を加えたこと。多様なキーワード検索に備え、その美術展の広報資料(開催要項、チラシ、ポスターなど)で使用されたサブタイトルをできるだけ採録した。
- 展覧会カタログの所蔵データを収録したこと。Art Libraries' Consortium(ALC、美術図書館横断検索)に参加している当館(国立新美術館)を含む7つの美術館図書室(国立西洋美術館研究資料センターは利用者登録制のため含めなかった)のみではあるが、展覧会カタログが所蔵されているか調査した。
[典拠]
本データベースの編纂にあたっては、展覧会カタログ、広報資料、年間スケジュール(カレンダー)、それぞれの美術館の年報および公式サイトを基本典拠とした。個々の美術館の公式ホームページとALC(美術図書館横断検索)も活用した。
[収録美術館]
本データベースに収録した美術館は300館近くを数え、それらの美術館は「展覧会カタログを定期的に発行し、かつ美術展開催があったかどうか未詳の空白期間がほとんど少ない美術館」を基本としたが、今回増補にあたり、美術展の数が少ない美術館も含めることとした。
[美術展の範囲]
本データベースに収録した美術展は、原則として美術館主催の企画展・特別展(企画性の高い常設展・所蔵作品展を含む)とし、貸館展である公募展やグループ・個人主催展は対象外とし、県展・市展も原則として割愛した。ただ美術館が主催者に入っている公募展巡回展はこの限りではない。このデータベースはそれぞれの美術館の展覧会史という側面をもっているので、美術展以外の文学や歴史分野などの展覧会が若干含まれている(従って、以下「展覧会」という語句を使用した)。
[凡例]
1. 構 成
本データベースは、主に次の項目から構成されている。
美術館名、および施設名
展覧会名
会期
主催・協力等
備考
展覧会カタログの有無・注記
所蔵
2. 美術館名、および施設名
- データベースの性格上、展覧会毎に会場である美術館名を記載した。また美術館によっては建物が独立して複数ある場合があり、その場合はその施設名を記載した。
3. 展覧会名
- 「タイトル:サブタイトル」を基本形とした(例:「日本近代美術展:近代絵画の回顧と展望」)
- 展覧会がシリーズ化されているものは、そのシリーズ名をタイトルに冠した(例:「現代美術への視点 連続と侵犯」)
- 展覧会が定期展の場合は、その回次を末尾に記した(例:「安井賞候補新人展 第1回」)
イ. タイトル、サブタイトルがそれぞれ複数の名称で構成されるときは、「/」で仕切った(例:世紀の祭典/万国博覧会の美術)
ウ. 個人作家および美術館やその設立母体である地方自治体や主催者に関する記念表記(生誕□年記念、米寿記念、画業□年記念、没後□年記念、開館□年記念、創刊□年記念、開局□年記念、創業□年記念など)はサブタイトルとして扱った(例:佐伯祐三展:没後50年記念、近代日本美術史・再読:開館50周年記念)
エ. 記載されている記号(約物)はできるだけそのまま記載したが、” ”のみ「 」と交換した。
4. 会 期
- 会期は、展覧会の初日と最終日を「-」で結んだ。展覧会が前期と後期に分かれ、会期がほぼ連続している場合は、前期の初日と後期の最終日を「-」で結んだ。
- 会期の日時が未詳の場合は「00.00」「10.00-00.00」のように「00」を用いた。
- 展覧会の配列は開催初日順としたが、初日が同一の複数の展覧会が重なった場合は、会期が短い展覧会を先に配列した。
5. 主催・協力等
- 主催、共催、協力、企画、企画協力、特別協力等、展覧会開催に直接かかわった団体・機関を記載した。
- 共催は主催と同等に扱い、実行委員会のうちメンバーの記載のあるものはそのメンバーを記載した。
- ただし協力等においては、個人および航空会社・輸送会社・保険会社のすべてと、地域の文化団体・商工会議所・メーカーの一部は割愛した。その場合、最後の協力名の末尾に「<<」を記入して他にも協力があることを示した。
- 主催・協力等のうち、財団法人○○財団とあるものについては「財団法人」は割愛した。
- なお、1970年12月までに開催された展覧会については「後援」も記載した。
6. 備 考
- 備考には、そのほかの項目に該当しないが、展覧会にとって重要な内容、特に、展覧会の性格(特別展、小企画展など)やタイトルに表示されない回数(第□回展など)を記載した。
7. 展覧会カタログの有無・注記
- 展覧会カタログが刊行されていることが確認できた場合、「カタログ(単独)」「カタログ(巡回)」「パンフレット等(パンフレット、リーフレット、目録、記録集、解説、鑑賞の手引など)」と記載し、単行書化された展覧会カタログ相当の出版物は『 』に囲み記載した。
- また、展覧会カタログの刊行がされていないことが判明した場合は「カタログ無」とした。
8. 単独展カタログと巡回展カタログ
- 展覧会カタログが刊行されている場合は、単独展カタログと巡回展カタログに大別した。
- ただし、単独展カタログと巡回展カタログとの区別は、当該展覧会が単独展か巡回展かを示すものではなく、あくまでも展覧会カタログが単独用か巡回用かを示すものである。
- 単独展カタログは、当該美術館1館用に刊行されたカタログで、「カタログ(単独)」と記載した。
- 巡回展カタログは、当該美術館を含む2か所以上の会場が列記されている展覧会カタログで、「カタログ(巡回○/□)」と記載、展覧会カタログ上、全体の会場数○のうち何番目(□番目)の会場かを示した。
- 巡回展のうち海外展を含む場合も記載通りとし、備考欄に「○○に巡回」と美術館名、もしくは国名・地域名を記載した。
- 展覧会カタログが刊行されたことは判明しているが単独か巡回が未詳の場合は、「カタログ*」とした。
9. パンフレット等
- パンフレット等は、パンフレットのほかリーフレット(1枚物)や出品目録などを指し、その大部分が当該美術館1館の単独用なので「単独」の記載は割愛し、巡回用の場合のみ「パンフレット等(巡回○/□)」と記載した。
- パンフレット等とカタログとの区分は、初め20ページの多少を基準としたが、現物を手にした感じで判断したものも多く、その区分は曖昧となってしまっている。
10. 出版物
- 展覧会カタログを出版物として刊行する(出版ルートに乗せて販売する)場合は、その書名と発行所を「『書名』(発行所名)」と記載した。
- 展覧会にあわせて出版された作品集などの刊行物も同様に記載した。
11. 所 蔵
- 所蔵欄は、「NAC」「ALC」から構成した。
- 「NAC」、「ALC」は、それぞれ次の美術館図書室(博物館資料館)の当該展覧会カタログの所蔵を示している。
- NAC
- 国立新美術館アートライブラリー、特別資料閲覧コーナー
- ALC
- 東京国立近代美術館アートライブラリ(工芸館図書閲覧室、フィルムセンター図書室を含む)、東京都現代美術館美術図書室、横浜美術館美術情報センター(図書/映像/情報)、東京都写真美術館図書室、東京国立博物館資料館、東京都江戸東京博物館図書室(国立西洋美術館研究資料センターは利用者登録制のため含めなかった)
- ただし例外として、京都府立文化博物館と京都市美術館に限り、NAC所蔵欄とALC所蔵欄とが空欄の場合、京都府立総合資料館(KLA)と京都府立図書館(KPL)で所蔵している展覧会カタログについてはALC所蔵欄にその略号を記載し、ALC所蔵欄名を「ALC等」とした。
- 展覧会カタログの所蔵検索はインターネット上のホームページで行い、一部は閲覧して現物の確認作業を行った。
12. 未詳・不明の事項
- 各項目において一次資料(展覧会カタログ、広報資料、館報・年報、美術館史など)が未見、ないしは実見できても不記載の場合で、記述の良否、刊行の有無等が確認できない場合は「*」印を記入した。(例:○○美術館*=○○美術館以外の主催者が未詳の場合)
13. 注・注記
- 個々のデータに関する「注」は当該データの次の行に「注:」を冠して記載した。
14. 参考
- 被災などでその展覧会が中止になった場合(特に巡回展カタログに記載がある場合)は、参考としてその展覧会を記載しておいた。
15. 美術館の配列
- 美術館の名称のうち、改称を重ねた美術館は最近年の名称をタイトル(標目)とした。
[お願い]
収録美術館の関係者の方で、データの誤記等お気付きの点がありましたら、お手数ですが、国立新美術館学芸課情報資料室までご一報下さい。