ID:73681

ふなだかよ展 EXHIBITION Kayo Funada

Venue

Oギャラリーeyes

O Gallery eyes

Period

2023年5月8日(月)ー5月13日(土)

Exhibition Outline

ふなだかよ展 フナダカヨテン

EXHIBITION Kayo Funada

ドイツの哲学者アクセル・ホネットによれば、母が子どもに注ぐ「愛」は、私たちがこの世界に存在することを最初に、そして無条件に肯定してくれる承認の基本的なありようである。ジェンダーの役割が流動的になり、家族の形態も多様化した現代において、母子関係の特別視はいまやあまり好まれないのかもしれない。でもだからこそ、社会的な正義とは別の位相で、母子の、とりわけ自らの体験としての母娘の愛の問題を、愚直なまでに追求するふなだかよの作品には、鬼気迫るものがある。愛を求めて「おかあさん!」「ママ!」と叫んだ記憶、そして今度は、小さな存在から尽くせぬ愛を求められる葛藤。観る者の胸にも疼く共通体験に寄り添いつつも、ふなだの表現する愛は、どこか過剰で、いびつで、ときに不穏ですらある。
多くの作品に共通するのは、愛という非物質的な対象を、どうにかして目に見えるかたちに結実させようとする試行錯誤である。食べきれないほどの山盛りの料理の量塊として、母から自分への愛を表現した《Mt.love》シリーズ(2013年)、記憶から抜け落ちていきそうな乳児期の娘への愛を、育児用品のおぼろげな残像に託した《fall》シリーズ(2018年)―ふなだ自身の立場は変われど、母から娘への愛を問うたこれらの作品を経て、本展では、娘が母に投げ返す愛のかたちが形象化される。一見したところ、大人である母が示す愛に比べて、幼い娘が示すそれは言ってみればわけがわからない。意味不明で、大胆不敵だ。手のひらサイズのかわいい愛もあれば、唐突に宇宙スケールの無限大に拡張する愛もある。純粋なようでいて、打算が混じっている気がすることもある。
そもそも愛などという一文字で概念化される前の、ほとばしるその何かを、ふなだは素材やメディアの境界を超えて果敢にとらえようとする。
きわめて普遍的であると同時にきわめて私的なテーマなだけに、大人になってしまった私たちは、愛について正面から語ることなどついはぐらかしてしまいがちだ。あるいはもっともらしい精神分析でも持ち出して、分かったような気になってしまう。
ふなだの作品は、そんな私たちに、何よりも自らの感覚をたよりに愛を感じてもいいのだと、表現してもいいのだと、勇気を与えてくれているように思われるのだ。
松山聖央(武庫川女子大学生活美学研究所嘱託助手)

Sponsership and Cooperation
テキスト:松山聖央(武庫川女子大学生活美学研究所嘱託助手)
Opening Hours
11:00 ~ 19:00
土曜日17:00

Access Information

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Address
〒530-0047
大阪市北区西天満4-10-18 石之ビル3F
Website
http://www2.osk.3web.ne.jp/~oeyes/
Updated Date:2023.5.31
Created Date:2023.5.31