ID:72940
西村みはる 展 EXHIBITION Miharu Nishimura
Venue
Oギャラリーeyes
O Gallery eyes
Period
2023年4月24日(月)- 4月29日(土)
Exhibition Outline
西村みはる 展 ニシムラミハル テン
EXHIBITION Miharu Nishimura
西村みはるの作品には、着色されていない部分が多い。一般的に余白といわれるところだが、西村の作品では空間と呼ぶのがふさわしい。しかも、画面にイリュージョンとして生成される空間ではなく、西村自身が生きている実空間と地続きの空間である。画面上の空間には何も見えないが、西村の身辺にある自然や季節、時の流れ、家庭のひとコマ、そしてその時々の自身の内面そのものがそこには確かに存在している。西村は色を置くことで、白い画面に見たものを繋ぎ止め、可視化する。
テーマは、自分自身と自身を取り巻く環境との関係にあるといってよいだろう。それを、初めのうちは観念的あるいは心象的な表現で描き出そうとしていたようである。その後、写真による作品を制作したことをきっかけに、西村が生きている実空間と画面の余白が繋がった。これが大きい。繋がったことで、自身と自身を取り巻く環境とにあった関係を、白い画面に見ることが可能になったといえる。
作品には、色面を用いたペインティング作品と描線を主としたドローイング作品がある。ペインティング作品の色面には、絵の具に網目状のテクスチャーが施されており、物質性が強調されている。“もの”というフィルターを通して画面に間(ま)と緊張感をもたらすという手法は、学生時代に出会ったという〈もの派〉に通じるところがある。
ドローイング作品に見られる動きのある描線は、時間を捉えようとする軌跡といえるだろう。ここでは、関係を描いているとも、空間を探っているともいえるが、間(ま)を明らかにしようとしている点で、描かれた線はペインティングにおける色面と同様である。近年のコロナ禍の下での作品には、これまでの色遣いとは印象の異なる薄紫の流動的な色面が現れた。これについて西村は、コロナ禍の追いつかなければならない変化の中で「居場所を求める中『不安と調和』が形体や色の変化につながっています」といい、色の選択に関して「自分のまわりにある環境で変化していくのだと思い使ってみようと思いました」といっている。新作でもかつて買ったきり絵の具箱の中で眠っていた色を使ったという(2023年1月26日付筆者宛メール)。
これまで確かだった実空間が揺らぐなか、今後、西村がどのように今を繋ぎ止めていくのか、興味深いところである。
安達一樹(徳島県立近代美術館)
- Sponsership and Cooperation
- テキスト:安達一樹(徳島県立近代美術館)
- Opening Hours
- 11:00 ~ 19:00
- 土曜日17:00
Access Information
Oギャラリーeyes O ギャラリー eyes
O Gallery eyes
- Address
-
〒530-0047
大阪市北区西天満4-10-18 石之ビル3F - Website
- http://www2.osk.3web.ne.jp/~oeyes/
Created Date:2023.3.15