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福井 篤 ATSUSHI FUKUI

「アルカディアン」

“Arcadians”

Venue

小山登美夫ギャラリー

Tomio Koyama Gallery

Period

2019年2月16日 [土] - 3月9日 [土]

Exhibition Outline

福井 篤 フクイ アツシ 「アルカディアン」

ATSUSHI FUKUI “Arcadians”

この度小山登美夫ギャラリーでは、福井篤展「アルカディアン」を開催致します。本展は、小山登美夫ギャラリーでは5年ぶり7度目の個展開催となり、新作ペインティングを発表致します。

「時空間を超越した遥かなイメージとスケール感」
ー福井篤の世界

福井篤の絵画作品には、自らの独創的な思考に基づいた、平和で静謐な理想郷的世界が広がります。キノコや木などの植物、森の中の少女、動物、現代の日常空間の断片や、太古の昔、壮大な宇宙。様々な要素が響き合い、まるで神話時代にさかのぼる壮大な叙事詩のような、時空間を超越した遥かなイメージとスケール感が生み出されているのです。

細緻に描かれた風景やモチーフは、青みがかった澄んだ色使いと美しいマチエールにより、隠喩的かつ哲学的な世界として現われてきます。福井自身、「全体を通した具体的なストーリーはないですが、お話があるかのように見せるのが好きです。」(『イラストレーション』、玄光社、2005年3月号)と語るように、描かれたイメージは写実的で一見わかりやすく見えますが、それらは何か固定の意味を示すというより、ある概念や現象の「象徴」であるといえるでしょう。鑑賞者は、作品にある断片のイメージをつなげて自分で物語を紡いで行くような、異界の想像力の旅へといざなわれます。

彼の作品の筆触やテーマは、少年時代魅了されていた欧米のSF・コミックスからの影響や、一度はミュージシャンを目指し10年間アートと離れた経歴にも繋がっており、ミュージシャンのデイヴィッド・シルヴィアンのレコードジャケットの装画やコラボレーションも手がけています。

「もっと自由で驚きに満ちた世界」
ー本出展作に関して

本出展作は、「もしも100年前に、地球と地球外の文明とのオープンなコンタクトが起こっていたとしたら、もっと自由で驚きに満ちた世界になっていたかもしれない」というテーマに基づき、地球外文明と地球の文明が融合した100年後の世界や、そこに住む人々を現しています。
それは福井にとっての「アルカディア」(理想郷)、「アルカディアン」(理想郷の住人達)であり、イメージとして現れてくる自分の理想に近い架空のタイムラインの世界を、現在のタイムラインの姿と混ぜて作品にしています。

作品の中の「アルカディア」には、人影は多くありません。わずかに描かれる「アルカディアン」は、ストーリーを語る主人公のように存在している訳でもなく、感情を伝えるでもなく、ただ「アルカディア」の一要素であり、まるで目に見えない何かを視覚化するために人間の姿を借りた「擬人像」のようです。

地球と宇宙、現代と未来と過去。どこが軸になっているのかわからないような時間と空間の未分化状態が、観る者に不思議な感覚を与え、ここから何か大きな出来事が起こるのではという予感を感じさせます。そして、普段意識することが少ない、自分の存在を含む大気が無限の宇宙とつながっている一体感を感じ、宇宙とはなにか、自然と人間はいかなる関係を保てるのか、実際のところ、時間の観念というのはどのように知覚されうるのかというような、深遠な問題を考えるきっかけにもなるでしょう。

また、本出展作の大きな特徴として、今までの欧米のコミックに影響されたアウトラインを描いてから色を塗る手法から、アウトラインが曖昧なよりペインタリーな表現に変化したことがあげられます。それにより、画面に一層の一体感と柔らかさを与えています。

「他者と自我、世界との距離感」
ー福井篤の視点

彼の作品から一貫して現われるのは、福井篤という作家の視点と、福井と現実の世界との距離感です。福井は少年時代の経験より、集団における個の存在や、自我と世界との関係への意識を描いてきました。

美術史家の加藤磨珠枝氏は福井作品について次のように評しました。
「福井の絵画テクストは、少し哲学的な言い方をすれば、『自分を含めた世界の全てはイリュージョン(幻影)かもしれないが、まさにそれを懐疑する自我の視覚が存在する』ことの表明である。」
(加藤磨珠枝「寓話、物語としての自我 / 他者像」、福井篤作品集『last night I dreamt somebody stole my mushroom』、小山登美夫ギャラリー刊行、2011年)

事物の存在とは、実は確固としたものでなく、もしかするとただの思い込みなのかもしれない。社会のルールの不自由さや、国境や民族といった様々な縛りなど、現実の世界で感じる生きづらさ。福井はそういったことから解放された、もっと自由で楽しい世界になりうるんじゃないかという理想や想像世界を、絵画表現を通して広げることに真摯に向き合い続けています。個展の度に時空の殻を破るような、福井の新たな世界観をご覧にぜひお越しください。

Closing Days
日月祝
Opening Hours
11:00 ~ 19:00
Admission (tax included)
入場無料
Exhibition Website
http://tomiokoyamagallery.com/exhibitions/fukui2019/

Events

【オープニングレセプション】
2019年2月16日[土]18:00-20:00
*作家も在廊致します

Access Information

小山登美夫ギャラリー コヤマトミオギャラリー

Tomio Koyama Gallery

Address
〒106-0032
港区六本木6-5-24 complex665ビル2F
Website
http://www.tomiokoyamagallery.com
Updated Date:2019.2.26
Created Date:2019.2.26