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陶芸の提案2017 Ceramic Proposition

―必然―

石井 美緒 一色 智登世 大澤 紗矢香 北野 藍子 木野 智史 下村 一真 田中 野穂 谷内 薫 中島 綾香 西 崇 樋口 奎人 松本 治幸

Venue

ギャラリー白 ギャラリー白3

Gallery HAKU

Period

2017.4.3[Mon]― 4.15[Sat]

Exhibition Outline

陶芸の提案2017 トウゲイノテイアン2017 ―必然―

Ceramic Proposition

陶芸の提案017「必然」を巡って
奥村泰彦
「陶芸の提案」はギャラリー白が選んだ若手の陶芸作家によるグループ展です。そのメンバーには毎年若干の入れ替わりがあり、また近年は予めテーマが提示されています。今年は12名の作家が選ばれ、テーマとして揚げられたのは「必然」という言葉です。
必然。必ずそのようである、というのは、避けようなく絶対確実に、また議論の余地のない必要性を以て、そのようであるということを意味する言葉です。
必然的であるかどうかということは、作品についての判断を下す場合に、一つの基準として評価を支える観点でもあります。作品としての必然性なり、表現の必要性なりといった言い方で、作品の質を評価することはしばしば行われます。ただ、そこで何がどう必然的なのかということは、都度都度に問い直されることです。
必然であるという判断は、例えばものが上から下に落ちるといった物理的な、あるいは機械的な現象について言う場合には客観的に行うことができるでしょう。しかしそれ以外の、人間の行為であるとか、美術作品について考えるとき、必然であるということはそれ自体が一つの評価の結果であって、その評価にいたる思考の過程次第で必然であるのか否かの判断はわかれていくものです。
必然であることは前提として存在するのではなく、結果として判断されるものだということです。
この展覧会は、現代陶芸と呼ばれる領域で作品の制作を行う若い作家によるものですが、まずその現代陶芸という作品の在り方自体が、必然とは考えられないものでした。その始まりは、四耕会や走泥社といったグループを形成した作家たちの制作に認められるものです。戦後、つまり20世紀後半の関西において、陶芸を生業とした人たちの中から、その素材と技術を用いて従来の陶芸とは異なる造形の可能性が探究し始められたのでした。土を成形して焼成するという技法によって、様々なものが作られてきた歴史があり、それは伝統として作られるものを規定しています。茶碗であり花器であり香炉であり置物であるようなものを作る技法としての陶芸です。現代陶芸は、その中から生まれ、そういった伝統とは異なった何ものかを生み出そうとする運動でした。そこで、陶芸において陶芸の枠を超えることが必然であるか否かが、まず問われることとなります。
従来の陶芸とは異なったものですが、といって彫刻として生まれてきたものでもない造形物をどうとらえるか。それは必然性を以て生まれてきたものなのかどうか。
必然という言葉が発せられるとき、その背後に対義語として「偶然」が意識されていることが多々あります。
しかし、現代陶芸という領域を生み出した作家たちは、偶然の産物としてそのような造形を生みだしたわけではなく、明確な意図を以て制作に当たったのでした。必然である、という確信こそなかったかもしれませんが、偶然に形作られたものでもないのです。彼らが対峙せねばならなかったのは必然性を巡る批判であり、そこで必然と対になるのは「不要」という判断です。
現代美術とは何かということはしばしば問題となります。現代に作られたという同時代性のみならず、現代美術をそれとして特徴づける要素はあるのかどうなのか。一つ考えられるのは、現代が根拠を失った時代だという認識を共有する表現であるということではないでしょうか。精神の拠り所としての神を根拠に置くことができなくなったというのは、キリスト教文化圏において語られるところですが、一方で普遍妥当性を持つとされる科学的な探究についても、その進歩の結果として、その基盤自体が疑わしいものとなったと考えられるようになりました。自らの存立の根拠への問い直しが、自らの存立自体を危うくし、自己否定を自らのうちにはらむという性格が、現代的なるものには通底しています。
現代陶芸と呼ばれる領域もまた、陶芸について、あるいは造形的な存在としての自己のありかたを批判する中から生まれてきたものです。逆説的ですが、このような状況において不要という判断は必然を根拠付ける要素の一つとなります。今日から振り返れば、現代陶芸の誕生と展開は、歴史的な必然と展開は、歴史的な必然と評価しうるものです。
さて、ではここで選ばれた若い作家たちが、現代陶芸という領域を表現の手法として選び、制作を行うことの必然性、そして生み出される作品の必然性は、改めて問われねばならないところでしょう。むしろ今は必然性を欠いた表現と見られるものであっても、必然に向けて制作を続けられることを、それによってここで提示される作品もまた必然として眺め直される時間を持ち続けられることを、作家たちには期待したいものです。

Closing Days
日曜日
Opening Hours
11:00a.m. ~ 7:00p.m.
(土曜日5:00p.m.まで)

Events

■4.3(月)6:00p.m.- 奥村康彦氏+出品作家によるギャラリートークを行いますので是非ご参加下さい。

Access Information

ギャラリー白 ギャラリー白3 ギャラリーハク

Gallery HAKU

Address
〒530-0047
大阪市北区西天満4-3-3 星光ビル2F
Website
http://galleryhaku.com/
General Inquiries
06-6363-0493 art@galleryhaku.com
Updated Date:2017.3.21
Created Date:2017.3.21