ID:47552
福永大介 Daisuke Fukunaga
「Documenting Senses ―イヌではなくネコの視点によって―」
" Documenting Senses - From Cats'Eyes, Not Dogs - "
Venue
小山登美夫ギャラリー東京
TOMIO KOYAMA GALLERY
Period
2015年9月12日 [土]―10月17日 [土]
Exhibition Outline
福永大介 フクナガダイスケ 「Documenting Senses ―イヌではなくネコの視点によって―」
Daisuke Fukunaga " Documenting Senses - From Cats'Eyes, Not Dogs - "
今回の展覧会についてのアーティストのコメント
本展では、約10点の新作ペインティングを展示致します。今回の展覧会の作品やタイトルに関して、福永は以下のように語ります。
「僕は、街の片隅でふと見かけるモップや路上に打ち捨ててあるタイヤやショーウィンドウ越しに飾られたホイール、また外灯で美しい形を浮かび上がらせたバイクシートなどを何とも言えない彫刻作品だと思うことがある。それらはその場の環境や時間の経過、光のあたり具合、あるいは人の手によって使われることで、日々形を変えて彫刻されている。自分は、そうした日々の変化の痕跡に出会う時に受ける驚きと自分がそれらに見出す感情であったり情緒などの感覚をドキュメントするように絵画にする。まるでネコが当ても無く彷徨いひっそりと何かを見つめているような視点でもって。」
ドキュメントについて
また、今回のタイトルにもある「ドキュメント」についても次のように語ります。
「何故、今回ドキュメントという言葉を用いたかというと、今まで自分が描いてきた―もの、こと―というのはどうゆう事なのかと改まって俯瞰して考えてみたのがきっかけです。自分が描きたいと思うモチーフは人気の無い、または人の痕跡が残っていてその後に取り残され放置されたもの、というか場に反応して出会います。道端であったり、幹線道路沿いや資材置場、工事現場などです。それらの場になぜ関心をよせるかと考えてみたとき、労働という言葉が出てきて、実際自分がバイトなどで労働している時にそれらの場に出会うことがあり触発されてきました。
身近なところでは今現在の清掃工場での体験があります。この工場は大きいので内部に様々な場所があります。それは巨大なゴミ捨てピット(穴)であったり、配管パイプが入り乱れている所や控え室など、大抵は薄暗く何処からか光が漏れて照らされている感じです。今の季節ですと非常に蒸し暑く悪臭もあります。しかし外部からみると、住宅街からは少し奥まったところにあるので解放感があり、四季の移り変わりも感じます。
この仕事の前は八王子市の全ての公園、幾つか忘れましたが何百箇所かを回って、公園内の遊具などの設備を一つ一つ全部を調査する仕事をしてました。夏から冬の半年くらいでしたが、いろいろな季節や時間によって様々なシチュエーションを感じることができました。またそれ以前、20代半ばくらいの頃はいわゆる日雇い派遣をしてました。基本的にはベッドをホテルや病院に納品し、設置する仕事が主です。“ホテルウーマン”(ベッドの置いてある部屋のなかの黒人の女性を描いたもの)という絵はこの時のある一瞬の光景を描いたものです。この仕事は都内など様々な場所へ行くので仕事が終わると思いのままに街を歩いたりしてました。思いのままとはいえ、自分の惹かれる場に出会うために、こっちかな、いやあっちだな、というように何か感覚的に反応する方向に歩いてゆくといった具合です。その中で出会う発見もけっこうあり、こうした街歩きみたいなものは前々から好きでよくします。
まるで、飼い主に連れられて散歩する犬では無く、赴くままに自分の行く先々でひっそりと佇んで何かをじっと見つめているネコの様なもんだなあとか思ったりして。
赤瀬川原平のトマソンもこうした街歩きの延長での事だと思うので勝手に親和性も考えたりしました。また同じ時期、2010年の京都の小山登美夫ギャラリーでの大野、桑久保、工藤、福永の四人展でのオープニングの後、そのまま関西に残り、大阪のドヤ街西成地区で実際に日雇いをしてみようと計画して行ってみたりもしました。
僕は、こうした労働の中での体験から多くのインスピレーションを受けていると思います。
また、今回は去年の夏に福島に赴いた時の体験として放射性廃棄物が入れられたフレコンバックを描いた絵もあります。これは以前からずっと気になってた福島県の何箇所かを三日間くらいかけて回りました。そうした中での最も印象的な光景として海岸線や街や畑や至る所に突如置かれているフレコンバックを目の当たりにしました。福島から帰ってきてからもそれらの光景が余韻として残っていて、作品として記せないかとずっと思ったまま、しかしなかなか着手できませんでしたが、その光景も今回作品になってます。
写真などのような事実を記録するドキュメントでは無く、こうした実際の体験の中から得られた抽象的な感覚を絵画としてドキュメントするということです。これはずいぶん素朴な方法であって、かつ内向的ともとれる個人的な世界観の発露と言えるかもしれませんが、僕はミクロな視点から世界を捉えるといったことをしていきたいと思っています。」
福永大介
2013年の小山登美夫ギャラリー京都での開催から2年ぶり、5回目の個展となります。福永の新たな挑戦となる本展を是非ご高覧下さい。
Events
オープニングレセプション:9月12日 [土] 18:00~20:00 *作家も在廊致します
Access Information
小山登美夫ギャラリー東京 コヤマトミオギャラリートウキョウ
TOMIO KOYAMA GALLERY
- Address
-
〒151-0051
渋谷区千駄ヶ谷3-10-11 - Website
- http://www.tomiokoyamagallery.com/
Created Date:2015.9.29