ID:9949
現代郷土作家展 笠木絵津子展
会場
姫路市立美術館
HIMEJI CITY MUSEUM OF ART
会期
2006年3月4日(土) ~ 2006年3月26日(日)
展覧会概要
現代郷土作家展 笠木絵津子展 ゲンダイキョウドサッカテン カサギエツコテン
笠木は物理学修士課程を終え、大学の物理学研究所で助手となった経歴を持ちながら写真家に転向しました。素粒子論を思考のアートとすれば、写真は視覚のアートであり、どちらも共通していると彼女は考えたといいます。素粒子の世界のように目が見えないものを視覚的にとらえたいという欲求は彼女をニューヨークでの美術研究へと旅立たせました。
当地で単純に目を楽しませるだけではない、脳に訴える美術の薫陶を受けた笠木は、写真から幅を広げて、空間を意識したインスタレーションや、異なる時間に生起する場面を一つの場に組み合わせる方法などを採用しはじめます。笠木の母が生きたパーソナルな時空間と笠木自身が生きている時空間を重ね合わせ、母と娘が時空間を超えて入れ替わり、複合的な時空間を自由に往来しながら、作品自体はイマジネーションの世界を益々膨らませていきます。見ている私たちは、事実とは異なるであろう作品を目にとまどいや違和感を覚えながら、時には自らの個人的な経験や思いをそこに重ねながら、虚構であると同時に生きられた時空間のリアリティを強く感じさせる作品の世界の中に誘い込まれていきます。ここでも目に見えるものではなく、目に見えないもの(時間、観念・・・)を追求する笠木の姿勢を確認することができると思います。
「私はふたつの異なるものを衝突させて新しい世界が立ちあがるのを見たいらしい」と今回の展示を前に笠木は気付いたといいます。そういえば、彼女の作品では、「第三の性は男と女の結合であった-プラトン」の男と女、「KAOHSIUNG台湾高雄1928-2003」における作者の時間と母の時間の交差、電子と陽電子の衝突を表した作品など、何かと何かがぶつかり合うイメージが底流をなしています。衝突によるエネルギーの発生、新たな融合や展開が、作品の前に佇む私たちと作品との関わりをより奥行きのあるものとしているように思います。
本展では、代表的なシリーズである上記の「KAOHSIUNG 台湾高雄1928-2003」など写真をイメージとして活用した作品や、「第三の性」をテーマとしたインスタレーション、そして姫路にある笠木の実家を取り壊す状況を映したヴィデオ「解体」など彼女の多様な創造世界を紹介いたします。この機会に是非ご覧いただきたく存じます。
- 主催者
- 姫路市立美術館
- 休催日
- 月曜日、3月22日(水)
- 観覧料
- 一般300円、大学・高校生100円、中学・小学生無料
- 展覧会ホームページ
- http://www.city.himeji.hyogo.jp/art/
- 展覧会問合わせ先
- 姫路市立美術館 Tel.079-222-2288
会場情報
姫路市立美術館 ヒメジシリツビジュツカン
HIMEJI CITY MUSEUM OF ART
- 会場住所
-
〒670-0012
姫路市本町68-25 - ホームページ
- https://www.city.himeji.lg.jp/art/
登録日:1999年3月31日