ID:70564

第1期コレクション展

会場

宮崎県立美術館

MIYAZAKI PREFECTURAL ART MUSEUM

会期

2022.4/16(土)~7/18(月)

展覧会概要

第1期コレクション展 ダイ1キコレクションテン

身体と動き
西洋美術の世界では、伝統的に人の身体を解剖学的に正確に表現することが重要視されてきました。一方で、近代以降、人間の存在そのものを見つめ、身体に向き合う表現も生まれました。
ここでは、さまざまな身体の表現に着目します。浜田知明はデフォルメした人物により、人間社会を鋭く風刺し、ボナールは気どらない自然の仕草を意外性のある構図で捉えました。
また、作品に表れる動きにも注目します。バルラは画家の手の運動の軌跡をスピードを感じさせる彫刻で表現し、サム・フランシスは日本美術の伝統的な技法を取り入れながら色彩がほとばしる作品を生み出しました。昨年度新たに収蔵した前衛書家・上田桑鳩の力強い筆触や、その弟子にあたる井上有一の作品などから、さまざまな身体と動きの表現をお楽しみください。

宮崎の美術 -ふるさとを描く
明治時代、日本の絵画は急激な社会の変化の中で転換期をむかえます。西洋の表現も取り入れられ、新しい「日本画」を求めた模索が始まりました。この時代に活躍した本県出身の日本画家として、伝統的な狩野派の流れを汲む山水画で力を発揮した山内多門がまず挙げられます。また、同時代に秀麗な美人画で認められていたのが益田玉城です。
一方、本県出身の洋画家では、太い輪郭線と鮮やかな色彩で独自の画風を追求した塩月桃甫が、大正5年に文展(文部省美術展覧会)に入選しています。また、力強い筆づかいで生命力あふれる女性像を描いた山田新一などが中央画壇で活躍しました。
今回は、宮崎県を代表するこれらの作家の作品を紹介するとともに、「ふるさとを描く」としたコーナー展示も行います。本県出身の作家やゆかりの作家による作品の魅力をお楽しみください。

家族の情景
このコーナーでは、家族の絆や人と人とのつながりに着目し、それぞれの作家が描いた家族の情景をご覧いただきます。
仲矢勝好は、能の「桜川」を題材にして、別れた子を探し求める母の悲哀を描きました。また、清水聖策の作品は、自身の父母を亡くした体験を通して、父母と自己とを見つめなおす中で生み出されたものです。
家族との温かな日常をテーマとして描いた画家たちもいます。はしぐちみよこは、母と子の絆を一貫したテーマとして、親子や子どもたちを描きました。他にも、妻や我が子を細やかな筆致で表現した小池鐵太郎や、家族であろう人々のほのぼのとした交流が伝わる黒木郁朝の版画作品も紹介しています。

瑛九の線と面
瑛九は、油彩やフォト・デッサン、版画などにおいて、独自の表現を求めて実験的な制作を繰り返しました。晩年の点描表現に至るまで、瑛九の作品は多彩に変化をしていきます。
油彩では、1940年代以降、キュビスム風の作品や、線や色面で構成した抽象的な作品を多く描いています。銅版画では、多彩な線を効果的に組み合わせて、不思議な世界を表現しました。フォト・デッサンでは、型紙や既製の物による面と、透過性のある素材に描いた線を用いて、奥行きのある画面を作りだしました。
ここでは、瑛九が様々な技法を使って描いた線や、造形性にこだわった線と面に着目した作品を紹介します。

フィノッティ -融合された形-
イタリアの現代彫刻家であるノヴェッロ・フィノッティ(1939- )は、大理石を滑らかな曲線に彫り上げる高度な技術により、人体や動物、植物などの全く異なった要素を組み合わせて、独自の形態を有した作品を多く制作しています。
「アヌビス1」では、台座の上で凜とした姿勢で遠くを見つめるジャッカルの後ろ足が、次第に人間の足へと変容を遂げています。現実にはあり得ない存在が、目の前に現れたかのような作品からは、鋭い緊張感が感じられます。キリストの誕生と死をモティーフとした「受胎告知」は、クッションのような柔らかな形の上に、布と溶け合った人体が見えます。前面は空洞になっており、人体の形をした後ろ姿と融合させることで、生と死が一体であることを表現しています。
形の融合から生まれてくる様々なイメージを連想しながら、フィノッティの世界をご堪能ください。

観覧料
観覧無料

会場情報

宮崎県立美術館 ミヤザキケンリツビジュツカン

MIYAZAKI PREFECTURAL ART MUSEUM

会場住所
〒880-0031
宮崎市船塚3-210 (県総合文化公園内)
ホームページ
https://www.miyazaki-archive.jp/bijutsu/
更新日:2022年5月18日
登録日:2022年5月18日