ID:31274

こんな本があった!

~岩瀬文庫平成悉皆調査中間報告展Ⅷ~

会場

西尾市岩瀬文庫

IWASE BUNKO LIBRARY

会期

2011年1月22日(土) ~ 2011年3月27日(日)

展覧会概要

こんな本があった! コンナホンガアッタ! ~岩瀬文庫平成悉皆調査中間報告展Ⅷ~

今回も「Ⅰ 地方の時代」として取り上げましたが、岩瀬文庫には日本各地の地誌(地理)関係の図書が、とりわけ手厚く集められていることがわかっています。ところで、岩瀬弥助と同じ時代に、もう一人、地誌を専門的に集めた人がいました。高木利太というジャーナリストです。弥助よりも四歳年下で、明治四年に豊後中津藩士の子として中津に生れました。同郷の先輩である福沢諭吉の慶応義塾を出て、大阪毎日新聞に入社し、新聞記者として敏腕を振るいました。日清戦争に従軍し戦況をつぶさに紙上に報告し、さらに欧米にも巡遊しています。その後、大阪毎日の専務取締役となって、会社の発展に寄与し、昭和7年に62歳で亡くなりました。
その膨大な蔵書目録『家蔵日本地誌目録』の続篇中に、岩瀬弥助が登場します。遠江の写本地誌『遠江古蹟図会』について、
「現本は愛知県西尾町岩瀬文庫主の故岩瀬弥助君の好意によりその文庫所蔵の校本を以て謄写したものでその際主人自ら筆者画家を得るため親しく御世話されたのであったが、岩瀬君は昭和五年一月末物故されたのは惜むべきである、同君は一介の肥料商から鉅万の富をなし天下の珍籍奇書を多数に蔵し西尾町のために宏大なる図書館兼公会堂を立てられた篤志家であつた、しかもその図書館公会堂を建設された発意についても面白い感ずべき逸話があるけれどもこれを語るには本書の解題から餘りに脱線するから略し茲に本書を登録する機会に唯だ故人の好意に敬意を表するに止むる」
と弥助の好意への感謝を記しています。しかし、この略されてしまった弥助の「面白い感ずべき逸話」が知りたいものですね。何とも無念でなりません。
ただ、おおよその想像は可能です。明治以降、急速に中央集権の進む中で、失われつつある地方の時代の記憶を、弥助は書物として永遠に保存しようとしたのではないでしょうか。実質の伴わぬまま、「地方の時代」が安易に叫ばれる昨今、弥助の抱いた危機意識とその先見性は瞠目すべきで、再認識が必要だろうと思います。
文庫開設以来初めて行われる悉皆調査(全資料調査)は11年目に入りました。その間に出会うことの出来た「こんな本があった!」を紹介する中間報告展を、市民の皆さんへの感謝を込めつつ、今年も催します。

休催日
月曜日(月曜日が祝日の場合は翌火曜も休館)
観覧料
無料
展覧会ホームページ
http://www.city.nishio.aichi.jp/nishio/kaforuda/40iwase/index.html
展覧会問合わせ先
電話 0563-56-2459

会場情報

西尾市岩瀬文庫 ニシオシイワセブンコ

IWASE BUNKO LIBRARY

会場住所
〒445-0847
西尾市亀沢町480
更新日:2010年11月12日
登録日:2006年5月24日