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《旅寓彩色》

田名網は1980年の夏、画家の合田佐和子、評論家の小野耕生らを含む18名で上海、南京、蘇州をめぐる中国旅行へ出かけた。この作品はその旅のスケッチ帖に代わる映像であるという。薄く滲んだ水墨画風の質感を出すためにデジタル編集機を用いて、色合いを大きく調整している。冒頭を飾るのは、田名網が憧れていた中国画に見られる神仙的世界。続いて旅情を誘う列車での移動風景、蘇州と思われる自然の風景と街並みがノスタルジックな音楽とともに写し出される。明暗が反転した映像に蛍光色を加えることで、牧歌的な旅の景色がサイエンスフィクションのような架空のイメージへと変貌している。