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《優しい金曜日》
本作は田名網のお気に入りの曜日であった金曜の朝を、軽やかな音楽とともに表現したアニメーションである。顔を洗い、メガネを拭き、朝食をとり、シャワーを浴びるという習慣的な行為が続く。そのはざまに、想像の中にあるさまざまなイメージが、実験映画を思わせるフリッカー効果とともに挿入される。幼少期に幻灯機に映して遊んだスズメ、戦時中に祖父が飼っていたランチュウ、白人女性の裸体など、これらのモチーフは脈絡なくつなぎ合わされ、朝の意識が幻想と日常とを行きつ戻りつする様子が描かれている。盟友の篠原有司男から届いた手紙と写真も登場し、田名網の実生活が垣間見える作品である。