女帝マリア・テレジアとその息子、皇帝ヨーゼフ2世が統治した1740年代から90年代のハプスブルク帝国の首都ウィーンでは、啓蒙主義に基づいた社会の変革が行われました。理性や合理主義に基づき、社会の革新を目指す啓蒙主義の思想がウィーンに入ってきたのは、他のヨーロッパ諸国に比べ早くはありませんでしたが、この思想の熱烈な支持者であったヨーゼフ2世は、宗教の容認、死刑や農奴制の廃止、病院や孤児院の建設など、行政や法律、経済、教育においてさまざまな改革を実行しました。ウィーンは、自由な精神をもつ知識人たちを魅了し、彼らの交流の場となることで、ヨーロッパ文化の中心地へと変貌を遂げていったのです。
展覧会ホームページ:https://artexhibition.jp/wienmodern2019/
展覧会概要
19世紀末から20世紀初頭にかけて、ウィーンでは、絵画や建築、工芸、デザイン、ファッションなど、それぞれの領域を超えて、新しい芸術を求める動きが盛んになり、ウィーン独自の装飾的で煌びやかな文化が開花しました。今日では「世紀末芸術」と呼ばれるこの時代に、画家グスタフ・クリムト(1862-1918)やエゴン・シーレ(1890-1918)、建築家オットー・ヴァーグナー(1841-1918)、ヨーゼフ・ホフマン(1876-1958)、アドルフ・ロース(1870-1933)など各界を代表する芸術家たちが登場し、ウィーンの文化は黄金期を迎えます。それは美術の分野のみならず、音楽や精神医学など多岐にわたるものでした。
本展は、ウィーンの世紀末文化を「近代化への過程」という視点から紐解く新しい試みの展覧会です。18世紀の女帝マリア・テレジアの時代の啓蒙思想がビーダーマイアー時代に発展し、ウィーンのモダニズム文化の萌芽となって19世紀末の豪華絢爛な芸術運動へとつながっていった軌跡をたどる本展は、ウィーンの豊穣な文化を知る展覧会の決定版と言えます。
会期 | 2019年4月24日(水)~8月5日(月) 毎週火曜日休館 ※ただし4/30(火)は開館 |
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開館時間 | 10:00~18:00 ※毎週金・土曜日は、4・5・6月は20:00まで、7・8月は21:00まで ※4月28日(日)~5月2日(木)、5月5日(日)は20:00まで ※5月25日(土)は「六本木アートナイト2019」開催にともない、22:00まで開館。 ※入場は閉館の30分前まで |
会場 | 国立新美術館 企画展示室1E 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 |
主催 | 国立新美術館、ウィーン・ミュージアム、読売新聞社 |
後援 | 外務省、オーストリア大使館、オーストリア文化フォーラム、ウィーン市、ウィーン市観光局 |
特別協賛 | キヤノン |
協賛 | 花王、大日本印刷 |
協力 | ANA、DNPアートコミュニケーションズ、ヤマトグローバルロジスティクスジャパン、ルフトハンザ カーゴ AG |
本展は,政府による美術品補償制度の適用を受けています。
観覧料(税込) |
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お問合せ | 03-5777-8600(ハローダイヤル) |
展覧会の構成
第1章:啓蒙主義時代のウィーン
第2章:ビーダーマイアー時代のウィーン
ナポレオン戦争終結後の1814年には、各国の指導者たちが集まったウィーン会議が開催され、ヨーロッパの地図が再編されます。以降、1848年に革命が勃発するまでの期間は、「ビーダーマイアー」と呼ばれます。当初、家具の様式を指す言葉でしたが、やがてこの時代の生活様式全般と精神構造を表すようになりました。急激な都市化と同時に政治的抑圧が強かったこの時代、それに対する反動として、人々の関心は「私的な領域」へ向けられます。あらゆる著作物に対し検閲が実施されるという抑圧された環境の中、画家たちがテーマとして選んだのは、日常生活やのどかで親しみやすい都市や農村の風景画でした。
世紀末芸術が花開いた1900年頃のウィーンでは、ビーダーマイアーが文化の着想源として参照されました。日常生活に実用的な美を見出したビーダーマイアーは、後にモダニズムのモデルとなったのです。
第3章:リング通りとウィーン
皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の治世(1848年-1916年)に、ウィーンは帝国の近代的首都へと変貌を遂げます。人口は、150万人から220万人にまで増加しました。
近代的な大都市への変貌は、1857年に皇帝が都市を取り囲む城壁の取り壊しを命じ、新しいウィーンの大動脈となる、「リング通り(リングシュトラーセ)」を開通させたことに始まります。沿道には帝国の要となる建築物が次々と建設されました。
リング通りは19世紀のウィーンの象徴(シンボル)であるといえます。1879年には画家ハンス・マカルト演出による皇帝夫妻の銀婚式を記念する盛大な祝賀パレードが開催されました。また、沿道には、古典主義様式の国会議事堂、ゴシック様式の奉献教会、ルネサンス様式の大学など歴史主義建築の建物が立ち並び、さらに19世紀末にはウィーン分離派の建築も建設されました。
第4章:1900年―世紀末のウィーン
カール・ルエーガーがウィーン市長として活躍した時代(1897年-1910年)には、さらに都市の機能が充実します。路面電車や地下鉄など公共交通機関も発展し、建築家オットー・ヴァーグナーがウィーンの都市デザイン・プロジェクトを数多く提案しました。計画のみに終わったものもありますが、今日のウィーンの街並みは、実現されたヴァーグナーの建築によって印象付けられています。
絵画の分野では、1897年にグスタフ・クリムトに率いられた若い画家たちのグループが、オーストリア造形芸術家組合(ウィーン分離派)を結成しました。1903年には、工芸美術学校出身の芸術家たちを主要メンバーとして、ウィーン工房が設立されました。
ウィーン分離派やウィーン工房の重要なパトロンはユダヤ人富裕層でした。芸術家たちの実験的な精神や妥協のない創作が、この時代の傑作の数々を生み出したのです。
関連イベント
講演会「ウィーン・ミュージアムとそのコレクション」 ※終了しました
講師 | ウルズラ・シュトルク(ウィーン・ミュージアム副館長、本展監修者) |
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日時 | 2019年4月24日(水)14:00~15:30 (13:30開場) |
会場 | 国立新美術館 3階講堂 |
*ドイツ語による講演(逐次通訳あり)
*定員260名(先着順)
*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。
音楽イベント「ウィーン少年合唱団 ミニトーク&コンサート」 ※終了しました
あの”天使の歌声”で知られる世界の音楽大使・ウィーン少年合唱団が、本展開催を記念して国立新美術館にやってきます。合唱団を率いる芸術監督とカペルマイスターを交えたミニトークと、彼らの美しく清らかな歌声をぜひこの機会にお楽しみください。
予定曲目 | J.シュトラウスⅡ「トリッチトラッチポルカ」ほか |
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日時 | 2019年4月26日(金)18:45~19:10 (無料でご聴講いただけます。) |
会場 | 国立新美術館1階ロビー |
音楽イベント「久元祐子・ピアノコンサート ベーゼンドルファーと巡るウィーン芸術の世界
Vol. 1~ウィーンの華~世紀末への道」 ※終了しました
日本人で唯一ベーゼンドルファー・アーティストの称号を持つ久元祐子さんが、ウィーンが世界に誇るベーゼンドルファー製のピアノでウィーンゆかりの名曲を披露します。
予定曲目 | モーツァルト:トルコ行進曲 シューベルト(R.シュトラウス編):クーペルヴィーザー・ワルツ シェーンベルク:「6つの小さなピアノ曲」より第6曲 ほか |
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日時 | 2019年4月27日(土)18:00~19:00 (無料でご聴講いただけます。) |
会場 | 国立新美術館1階ロビー |
※曲目は予告なく変更になる場合があります。
音楽イベント「小林沙羅・歌曲コンサート〈ウィーン歌曲の夕べ〉」 ※終了しました
オペラ界を代表する若手ソプラノ歌手・小林沙羅さんが、本展覧会に関連作品が出品されるモーツァルト、ヨハン・シュトラウス2世、マーラーなど、ウィーンゆかりの作曲家による歌曲をセレクトしお届けします。
予定曲目 | モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』より「ぶってよ、私の愛しいマゼット」 マーラー:「誰がこの小唄を思いついたの?」 ほか |
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日時 | 2019年5月2日(木)18:00~19:00 (無料でご聴講いただけます。) |
会場 | 国立新美術館1階ロビー |
※曲目は予告なく変更になる場合があります。
音楽イベント「山口友由実・ピアノコンサート ベーゼンドルファーと巡るウィーン芸術の世界
Vol. 2~モーツァルトからコルンゴルトまで」 ※終了しました
ウィーン在住で現地の国内外のコンサートで活躍を続ける山口友由実さんが、オーストリアが世界に誇るベーゼンドルファーのピアノで、薫り高きウィーンの音色を奏でます。
予定曲目 | シューベルト=リスト:春の想い ツェムリンスキー:リヒャルト・デーメルの詩による4つの幻想曲集 op. 9 ほか |
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日時 | 2019年5月3日(金)18:00~19:00 (無料でご聴講いただけます。) |
会場 | 国立新美術館1階ロビー |
※曲目は予告なく変更になる場合があります。
演劇「エミーリエ・フレーゲ 愛されたミューズ EMILIE FLÖGE – GELIEBTE MUSE von Penny Black」 ※終了しました
オーストリアの女優マクシ・ブラーハの来日公演が決定! 本展のメイン作品《エミーリエ・フレーゲの肖像》に描かれたエミーリエの生涯を、彼女のオリジナルの洋服の型紙をもとに再制作された衣装に身を包み、一人芝居形式で演じます。オーストリア各地ほか、パリ、ロンドンやニューヨークでも絶賛された演目の日本初上演です。
出演 | マクシ・ブラーハ |
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演奏 | ゲオルク・ブクスホーファー(エレキベース) |
演出 | ハイデリンデ・カッツィンガー |
日時 | 2019年5月17日(金)18:00?19:00 |
会場 | 国立新美術館 3階講堂 |
*ドイツ語による上演(日本語訳配布)
*定員260名(先着順)
*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。
「ウィーン・モダン クリムト、シーレ 世紀末への道」展トークショー 『藤井フミヤ×とに~ クリムト、シーレ ウィーン芸術の魅力』 ※終了しました
トーク | 藤井フミヤ(ミュージシャン)、とに~(アートテラー) |
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日時 | 2019年6月14日(金) 15:00~16:00 |
会場 | 国立新美術館 3階講堂 |
定員 | 250名(事前申込制) 詳細は展覧会HPをご覧ください。 |
*聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)の提示が必要です。
*内容や日時は都合により変更となる可能性があります。あらかじめご了承ください。
ウィーン・モダン×文化服装学院コラボレーション企画
日本随一のファッション専門学校、文化服装学院とのコラボレーションが実現!文化服装学院オートクチュール専攻の学生が《エミーリエ・フレーゲの肖像》に描かれた青のドレスを再現。さらに、ファッション高度専門士科3年の学生によって、現代の感性でエミーリエ・フレーゲにインスピレーションを受けたドレスが制作されました。本展期間中、この2つのドレスを会場内にて特別展示します。
展示場所 | 本展会場内(国立新美術館 企画展示室1E)休憩室 |
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*展示場所への入場には本展の観覧券が必要です。
*本作品はご自由に撮影いただけます。