国立新美術館 広報担当:桐生、菊池、磯山
〒106-8558 港区六本木7-22-2
Tel:03-6812-9925 Fax:03-3405-2531
E-mail:pr@nact.jp
展覧会ホームページ:http://www.tbs.co.jp/balletsrusses2014/
展覧会Facebook:https://www.facebook.com/balletsrusses.the.art.of.costume/
展覧会概要
1909年にパリで鮮烈なデビューを果たしたバレエ・リュス(ロシア・バレエ)は、革新的なステージにより一世を風靡した伝説のバレエ団です。主宰者セルゲイ・ディアギレフ(1872-1929)の慧眼により、同バレエ団はワツラフ・ニジンスキー(1889-1950)をはじめとするバレエ・ダンサーや振付家に加え、20世紀を代表する作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)ら、数々の新しい才能を輩出しました。ロシアのエキゾティシズムとして人気を集めたバレエ・リュスは、やがてピカソやマティス、コクトー、ブラック、ローランサン、シャネルら、当時パリで活躍していた前衛の若手アーティストを取り込み、新しいスタイルの「総合芸術」として、バレエだけでなく美術やファッション、音楽の世界にも革新と興奮をもたらし、大きな影響を与えました。
本展では、オーストラリア国立美術館が有する世界屈指のバレエ・リュスのコスチューム・コレクション32演目、約140点の作品を中心に、デザイン画や資料などと併せて、これまでにない規模でその魅力の全貌を紹介します。
- バレエ・リュスとは
- 1909-29年にディアギレフによって主宰され、20世紀初頭の動乱の時代に、舞踊や舞台デザインの世界に革命をもたらしたバレエ団です。ロシア帝室バレエ団出身のメンバーが中心となり、パリを中心にヨーロッパ各地やアメリカ、オーストラリアなどで公演しました。「バレエ・リュス」とは、フランス語で「ロシア・バレエ団」を意味しますが、ロシアで公演したことは一度もありませんでした。伝説のダンサー兼振付家ニジンスキーをはじめ、レオニード・マシーン(1895-1979)やブロニスラワ・ニジンスカ(1891-1972)、セルジュ・リファール(1905-1986)、ジョージ・バランシン(1904-1983)ら、20世紀におけるバレエの革新に大きく貢献した振付家を輩出しました。ストラヴィンスキーが広く世に知られる契機となったのも、ディアギレフに依頼されバレエ・リュスのために作曲した《火の鳥》(1910年)や《春の祭典》(1913年)です。ディアギレフ没後、リファールはパリ・オペラ座の芸術監督を務め、バランシンはニューヨーク・シティ・バレエ団の母体をつくるなど、世界各地のバレエ団の礎はバレエ・リュス出身のダンサーたちによって築かれました。
会期 | 2014年6月18日(水)~9月1日(月) 毎週火曜日休館 ただし、8月12日(火)は開館 |
||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
開館時間 | 10:00~18:00 金曜日、8月16日(土)、23日(土)、30日(土)は20:00まで 入場は閉館の30分前まで |
||||||
会場 | 国立新美術館 企画展示室1E 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 |
||||||
主催 | 国立新美術館、TBS、オーストラリア国立美術館、読売新聞社 | ||||||
後援 | オーストラリア大使館、公益社団法人日本バレエ協会 | ||||||
協賛 | 大日本印刷、チャコット | ||||||
助成 | 豪日交流基金 | ||||||
協力 | K-BALLET、日本航空、ヤマトロジスティクス | ||||||
観覧料(税込) |
|
||||||
お問合せ | ハローダイヤル 03-5777-8600 |
展覧会の見どころ
現代の芸術、ファッションの源泉―
豪華な顔ぶれのアーティストたちが関わった伝説のバレエ団
20世紀を代表する画家パブロ・ピカソ(1881-1973)やアンリ・マティス(1869-1954)、ジョルジョ・デ・キリコ(1888-1978)、ロシア出身の画家レオン・バクスト(1866-1924)やナタリヤ・ゴンチャロワ(1881-1962)、ミハイル・ラリオノフ(1881-1964)、20世紀を代表する作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882-1971)、ファッション界の革命児ココ・シャネル(1883-1971)……。多くの前衛アーティストたちがバレエ・リュスに参画し、音楽や舞台装置、衣裳デザインを手がけました。
空前絶後! バレエ・リュスのコスチュームを大規模に紹介する日本で初めての展覧会
バレエ・リュスは、その革新性からいまだに大きな影響力を持つ伝説的存在ですが、今日の私たちは、その偉業をわずかに残された手がかりを元に想像するしかありません。そうした中、コスチュームは、ダンサーの身体を想起させ、当時の様子を最もリアルに伝える格好の遺産であるといえます。
考え抜かれたデザインやカット、構造、鮮やかな色彩、装飾・・・バレエ・リュスの衣裳は、それを身に着けたダンサーの動きに、さらなる視覚的なインパクトを付与するものでした。バクストをはじめアレクサンドル・ブノワ(1870-1960)やマティス、ジョルジュ・ブラック(1882-1963)、ゴンチャロワ、ラリオノフ、アンドレ・ドラン(1880-1954)、デ・キリコら、錚々たる顔ぶれのアーティストたちによってデザインされた斬新で煌びやかなバレエ衣裳を展示します。
オーストラリア国立美術館が有する世界屈指のバレエ・リュス衣裳コレクション
オーストラリア国立美術館は、1973年にロンドンのサザビーズで約400点ものバレエ・リュス関連の作品や資料を購入して以来、バレエ・リュスの衣裳を館の重要なコレクションとして積極的に蒐集してきました。
本展覧会では、約40年かけて丁寧に修復されたコスチュームが、オーストラリア国外で初めてまとまった形で展示されます。世界屈指のバレエ・リュス衣裳コレクションが一堂に会する、貴重な機会となります。
多彩な関連イヴェント
展覧会を多角的な視点でとらえる機会として、様々な分野から専門家をお招きした講演会やワークショップなど各種イヴェントの開催を予定しています。イヴェントの詳細については、展覧会ホームページでご案内いたします。
充実した展覧会カタログ
オーストラリア国立美術館で開催された本展覧会(2010-2011年)の英語版カタログを、日本語に翻訳して出版します。図版を多く掲載した本カタログは、バレエ・リュスのコスチュームを知る入門書として、格好の1冊となることでしょう。
鑑賞ガイド
子どもから大人まで、来場された方々が年齢に関係なく展覧会を楽しめるようなガイドブックを会場で無料配布します。
→ 誠に申し訳ございませんが、残部僅少のため、鑑賞ガイドの配布は終了しました。
*児童、生徒ならびに学生の方には引き続き配布しております。
*3階アートライブラリーでも閲覧いただけます。
音声ガイド
音声ガイドではK-BALLET COMPANY(Kバレエカンパニー)芸術監督・熊川哲也氏も出演いたします。展覧会会場限定のオリジナルコンテンツを是非会場でご堪能ください。
展覧会の構成
I.初期 1909-1913年 (ロシア・シーズン)
1909年5月にパリのシャトレ座で《アルミードの館》(美術・衣裳デザイン:ブノワ)、《ポロヴェツ人の踊り》、(美術・衣裳デザイン:レーリヒ)、《饗宴》(美術・衣裳デザイン:ゴロヴィン、本展不出品)で鮮烈なデビューを果たしたバレエ・リュスは、その後わずか短期間のうちに《クレオパトラ》(1909年、美術・衣裳デザイン:バクスト)や《シェエラザード》(1910年、音楽:リムスキー=コルサコフ、美術・衣裳デザイン:バクスト)、《火の鳥》(1910年、美術:ゴロヴィン、衣裳デザイン:ゴロヴィン、バクスト)、《ペトルーシュカ》(1911年、美術・衣裳デザイン:ブノワ)、《青神》(1912年、美術・衣裳デザイン:バクスト)などの傑作を次々と発表し、一世を風靡しました。
その後1911年頃には、それまで振付を担当したミハイル・フォーキンに代わり伝説のスターダンサー、ニジンスキーが振付を手掛けるようになります。中でも、《牧神の午後》(1912年、音楽:ドビュッシー、美術・衣裳デザイン:バクスト)や《春の祭典》(1913年、音楽:ストラヴィンスキー、本展不出品)はよく知られています。この時期、鮮やかな色彩で東洋のエキゾティシズムやロシア的な原始性を最高度のテクニックで表現したバレエ・リュスは、異国情緒溢れる甘美な作品を多く生み出しました。
II.中期 1914-1921年(モダニズムの受容)
1914年に第一次世界大戦が勃発し、世紀末から続いたベル・エポックが終焉を迎えた頃、ディアギレフはそれまでの東洋趣味から離れ、パリで活躍していたピカソやジャン・コクトー(1889-1963)ら若手の前衛アーティストを、バレエ・リュスの活動へ積極的に取り込みます。振付においても、フォーキンやニジンスキーに代わる振付家としてマシーンが活躍し、新たにコミカルさという要素も加わりました。
本展では、ゴンチャロワが美術および衣裳デザインを担当した《金鶏》(1914年、音楽:リムスキー=コルサコフ)の衣裳やマティスがデザインした《ナイチンゲールの歌》(1920年、音楽:ストラヴィンスキー)など、バレエ・リュスがモダニスムと関わり始めた時代のコスチュームを展示します。
III.後期 1921-1929年(モンテカルロ)
マシーンがバレエ・リュスを去った後、ニジンスキーの妹ニジンスカが振付を担当し、《結婚》(1923年、本展不出品)や《牝鹿》(1924年、美術・衣裳デザイン:ローランサン)、《青列車》(1924年、台本:コクトー、衣裳デザイン:シャネル、本展不出品)など、モダンで洗練された作品が数多く生み出されました。一方、この時期、ディアギレフはチャイコフスキーやプティパによる伝統的なクラシック・バレエの最高傑作を西欧に紹介したいと考え、《眠り姫》(1921年、美術・衣裳デザイン:バクスト)や《オーロラの結婚》(1922年、美術・衣裳デザイン:バクスト)なども上演しています。また、ディアギレフは音楽家プロコフィエフの若き才能を見抜き、《道化師》(1921年、美術・衣裳デザイン:ラリオノフ)やソヴィエト社会をロシア構成主義的な作風で表現した《鋼鉄の踊り》(1927年、美術・衣裳デザイン:ヤクーロフ)のための作曲を依頼しました。その他、全身レオタードに蛍光塗料が塗られた実験的な衣裳を採用した《頌歌》(1928年、美術・衣裳デザイン:チェリチェフ)が上演されたのも、この時代です。
IV.バレエ・リュス解散後 (バレエ・リュス・ド・モンテカルロを中心に)
ディアギレフの没後、バレエ・リュスは解散し、バレエ・リュスに触発されたバレエ団が数多く誕生しました。中でも最も重要なのが、1932年にバジル大佐とルネ・ブリュムによって結成された「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」です(36年に二人は訣別し、ブリュムは新たに「モンテカルロ・バレエ」を結成、後に残されたバジル大佐は一座を「バジル大佐のバレエ・リュス」と改名しました)。彼らは「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」にディアギレフの腹心であったセルジュ・グリゴリエフ(1883-1968)やボリス・コフノ(1904-1990)を呼び寄せ、また、バレエ・マスターとしてジョージ・バランシンを起用しました。
こうして、同バレエ団はディアギレフのバレエ・リュス時代の主要メンバーが参加し、活動を展開しました。このほか、バロノワ、リャブチンスカ、トゥマノワという3人の有名な「ベイビー・バレリーナ」が活躍したのもこのバレエ団です。
モナコを拠点としたこのバレエ団は、世界中を広く巡業し、オーストラリアでもツアー公演を行っています。同バレエ団で活躍したダンサーたちが、後にオーストラリア・バレエの礎を築きました。本展では、《予兆》(1933年、衣裳デザイン:アンドレ・マッソン)や《公園》(1935年、衣裳デザイン:ジャン・リュルサ)などを展示します。
作品リストはこちらからご覧いただけます。
関連イヴェント
講演会
- 「開幕記念講演会」
-
6月18日(水)
14:00-15:00
「Ballets Russes: The Art of Costume(魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展)」
講師:ロバート・ベル氏(本展企画者、 オーストラリア国立美術館装飾芸術・デザイン部門シニア・キュレーター)
-
15:00-16:00
「Behind the Scenes: The conservation of the costumes of the Ballet Russes(舞台の裏側で:バレエ・リュス・コスチュームの保存)」
講師:ミシェリン・フォード氏(オーストラリア国立美術館シニア・テキスタイル・コンサヴェーター)
*逐次通訳あり
*入れ替えなし、途中入退場可
- 「バレエ音楽の歴史とバレエ・リュッス」
-
6月22日(日)14:00-15:30
福田 一雄(FUKUDA KAZUO)プロフィール
1931年東京生まれ。5歳より絶対音感早期教育を受け、幼児期よりピアノをポール・ヴィノグラドフ氏(元モスクワ音楽院教授)に師事。1957年読売ホールにおいて「バレエ音楽の夕べ」を企画し日本フィルハーモニー交響楽団を指揮、指揮者としてデビューした。以来、内外の各バレエ団の公演に指揮者として、また、音楽構成、編曲などで参加。NHK招聘の第2回イタリア・オペラ公演の際は副指揮者を務めた他、NHKテレビ「音楽の世界」、テレビ朝日系列の「題名のない音楽会」の指揮者として内外の多くのソリストと共演している。これまで「白雪姫」「みにくいアヒルの子」「不思議の国のアリス」など、子供のためのバレエの作曲も多く手がける。近年は、ミュージカルの分野でも新境地を拓いた。これら多方面にわたる音楽ジャンルのうち、ライフワークとして関わってきたのがバレエ音楽の研究である。永年、多くのバレエ団との指揮活動の他、バレエ音楽の歴史、および複雑多岐にわたる楽譜の整理と蒐集を行いバレエ界に多大な貢献をしている。2007年シアターオーケストラトーキョー音楽監督に就任。新国立劇場バレエ研修所講師。「舞踊ペンクラブ賞」「橘秋子特別賞」を受賞。著書に『バレエの情景』がある。日本指揮者協会幹事長。
- 「ディアギレフ--美を追い続けた男」
-
7月6日(日)14:00-15:30
講師:鈴木晶氏(舞踊評論家、法政大学教授、早稲田大学大学院客員教授)
1931年東京生まれ。5歳より絶対音感早期教育を受け、幼児期よりピアノをポール・ヴィノグラドフ氏(元モスクワ音楽院教授)に師事。1957年読売ホールにおいて「バレエ音楽の夕べ」を企画し日本フィルハーモニー交響楽団を指揮、指揮者としてデビューした。以来、内外の各バレエ団の公演に指揮者として、また、音楽構成、編曲などで参加。NHK招聘の第2回イタリア・オペラ公演の際は副指揮者を務めた他、NHKテレビ「音楽の世界」、テレビ朝日系列の「題名のない音楽会」の指揮者として内外の多くのソリストと共演している。これまで「白雪姫」「みにくいアヒルの子」「不思議の国のアリス」など、子供のためのバレエの作曲も多く手がける。近年は、ミュージカルの分野でも新境地を拓いた。これら多方面にわたる音楽ジャンルのうち、ライフワークとして関わってきたのがバレエ音楽の研究である。永年、多くのバレエ団との指揮活動の他、バレエ音楽の歴史、および複雑多岐にわたる楽譜の整理と蒐集を行いバレエ界に多大な貢献をしている。2007年シアターオーケストラトーキョー音楽監督に就任。新国立劇場バレエ研修所講師。「舞踊ペンクラブ賞」「橘秋子特別賞」を受賞。著書に『バレエの情景』がある。日本指揮者協会幹事長。
- 「バレエ・リュスの功績」
-
7月13日(日)14:00-15:30
講師:薄井憲二氏(公益社団法人日本バレエ協会会長)
薄井 憲二(USUI KENJI)プロフィール
1924年東京生まれ。学生時代に蘆原英了氏の知己を得、16歳で東勇作氏に師事しバレエ・ダンサーとしての初舞台を踏む。東京大学経済学部在学中に軍隊に入隊しハルピンへ。終戦後4年間のシベリア抑留を経て帰国し、ただちに東勇作バレエ団に復帰。その後ヴィタリー・オシンズ、アレクセイ・ヴァルラーモフにも師事して本格的にバレエに取り組む。以後古典、創作バレエなどの分野で活躍、テレビにも度々出演。1957年には自らバレエ団を組織しダンサーとして公演、松山バレエ団とともに中国公演も行っている。また世界三大バレエコンクール(モスクワ、ヴァルナ、ジャクソン)など多くの国際バレエコンクールの審査員を歴任、同時に舞踊史研究家としても有名で著書・訳書も多い。1987年橘秋子賞、1994年兵庫県文化功労賞、1995年蘆原英了賞、2003年兵庫県文化賞受賞。京都市在住。
上映会
- 「バレエ・リュス 踊る歓び、生きる歓び」(監督:ダン・ゲラー、デイナ・ゴールドファイン 2005年、118分)
-
7月11日(金)、8月15日(金)両日とも18:30-19:00
講師:本展担当研究員
※定員250名(先着順、各上映会の入れ替えなし。なお、整理券の配布はいたしません。)
解説会
-
7月11日(金)、8月15日(金)両日とも18:30-19:00
※字幕あり
※定員250名(先着順、各上映会の入れ替えなし。なお、整理券の配布はいたしません。)
アーティスト・ワークショップ
-
2.5D 着られるイラスト バレエ・リュス ペーパーチュニックコレクション2014
7月26日(土)13:30-17:00