1952 和歌山県御坊市に生まれる
1976 多摩美術大学絵画学科油画専攻 卒業
1988-1993 多摩美術大学絵画学科油画専攻 非常勤講師
1990 和歌山県文化奨励賞
1999-2004 東北芸術工科大学美術科洋画専攻 非常勤講師
2001 平成12年度第51回芸術選奨文部科学大臣新人賞
2001 御坊市文化賞
2003- 多摩美術大学絵画学科油画専攻 教授
2005 第21回現代日本彫刻展 毎日新聞社賞(岡本敦生とのコラボレーション)
国立新美術館開館5周年
野田裕示 絵画のかたち/絵画の姿
NODA Hiroji 1981-2011
展覧会概要
野田裕示(のだ・ひろじ/1952年 和歌山県生まれ)は、多摩美術大学を卒業した翌1977年には、南画廊の最年少作家として個展が開催されるなど、早くから才能を認められた画家です。しかし、80年代初頭より絵画の新しい可能性を求め、様々な模索を始めました。本展は、以来30年に及ぶ画家の取り組みを、進化を重ねる中で生まれてきた約140点の作品によって概観し、その試みが、日本のアートシーンの中でどのような成果をもたらしたのかを検証するものです。
野田の絵画の本質を問う作業は、一種のレリーフ作品ともいえる箱状の造形によって始まりました。続く80年代半ばにはそれが発展し、支持体を袋状に覆う独自の絵画スタイルが登場します。さらに90年代は、カンヴァスを縫い合わせ、折り返し重ねる手法によって深化が図られますが、2000年を迎える頃には、下地は徐々に平滑になり、独特の形象が自在に描かれる画面へと変貌していきました。そして近年の、特定のテーマによる連作や、組み合わせを意識した作品は、展示の有り様ようを重視する傾向へと進んでいます。
野田は、これまでも活発に発表活動を行ってきた作家の一人ではありますが、その初期から現在までを見通す機会はほとんどありませんでした。作家が自身の造形思考をどのように深め、作品化してきたかを確認することは待望されたものであり、さらにこの展観が、一人の優れた作家の足跡を辿ることに留まらず、今後の絵画の行く末に思いを馳せる機会となることを願うものです。
会 期 |
2012年1月18日(水)~4月2日(月)
毎週火曜日休館 ※ただし3月20日(火)は開館、翌21日(水)は休館 |
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開館時間 |
10:00から18:00まで
※金曜日は20:00、3月24日(土)は「六本木アートナイト2012」開催にともない22:00まで開館 ※入場は閉館の30分前まで。 |
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会 場 |
国立新美術館 企画展示室2E(東京・六本木)
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 |
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主 催 | 国立新美術館 | ||||||||
お問合せ | ハローダイヤル 03-5777-8600 | ||||||||
観覧料(税込) |
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展覧会の見どころ
東京初のまとまった個展
1970年代後半から現在に至るまで、精力的に作品を発表している野田ですが、1995年に和歌山県立近代美術館で個展が開催されて以来、彼の創作活動を概観するような展覧会は開催されていません。本展覧会は、その後の展開を含めた、初期から現在に至る30年間の活動を展望する個展となります。
初期の代表作から新作までを出品
野田の初期の代表作《WORK 179》(1983年)は、ギャラリーホワイトアートで発表された後、郷里の御坊市民文化会館の2階ロビーに常設展示され、今日に至っています。平成12年度芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞した《WORK 1316》(2000年、新潟市美術館蔵)や本展のために描かれた新作《WORK 1766》までを展示します。
作品と関連するドローイングの展示、制作風景を映像化
本展覧会では、野田の創作活動の過程を示すべく、今まで公開されたことのないドローイングも併せて展示します。また、どのようなプロセスを経て制作されるのか、新作の制作風景を映像に収め公開します。
彫刻家・岡本敦生とのコラボレーション作品を展示
平面絵画を追求してきた野田ですが、彫刻家・岡本敦生(1951~)と三度にわたり共同制作を行っています(1996、2000、2004年)。二人はその後、2005年の「第21回現代日本彫刻展」(宇部市)にも招待出品し、毎日新聞社賞(第3席)を受賞しています。本展覧会では、旧友でもある岡本との息の合ったコラボレーション作品を特別展示し、個人の作品とは異なる側面をご紹介します。
充実したカタログ
出品作品140点に加え、ドローイング、さらに岡本とのコラボレーションをカラー図版で掲載。また、1981年から2011年までの野田の創作活動が概観できるようなテキストを収録するとともに、過去の主要な論評を一部抜粋し掲載します。野田のこれまでの歩みについて、理解を深めるための良い手引書となるでしょう。
多彩な関連イヴェント
作家本人によるアーティスト・トークの他、彼の20代を知る美術関係者、批評記事を多く手がけたジャーナリストによる講演会を予定しています。彼らの証言は、当時の現代美術の状況を伝える貴重な機会ともなるはずです。また、現代美術家の開発好明(かいはつ・よしあき)や富田菜摘(とみた・なつみ)とのワークショップを予定しています。
展覧会構成
第1部
1980年代─絵画の可能性への試み
[約30点]
作家の新しい取り組みは、一種のレリーフ作品ともいえる箱状の造形によって始まっています。それらは箱形に囲われた支持体の中に、木や布、竹、針金などを様々に取り付けたものでした。制作の背景には、絵画を成り立たせている構造への興味と、平面の表現に対する真摯な問いかけがあったものと想像します。80年代半ばからは、支持体に打ち付けた木片や、逆に穿たれた溝を、袋状のカンヴァスによって覆う仕事が現れ、今日の野田裕示の絵画スタイルの萌芽が見て取れます。
第2部
1990年代─独自の様式の確立と展開
[約40点]
90年代に入ると、画面の凹凸は小さくなり、作家の持ち味である重層的な構造と形象は、カンヴァスを縫合したり、折り返し重ねることによって作られるようになります。この時期の多彩な展開は、野田の画家としての幅を思わせるもので、形や配色、テクスチャーに様々な試みがなされました。作家の代表作として各地の美術館に所蔵される作品の多くは、この時期に手がけられています。
第3部
2000年代─さらなる可能性を求めて
[約70点]
日本のアートシーンの中に一定の地歩を得た野田の新しい展開は90年代後半に訪れ、改めて描くという行為が次の局面を導き出しました。これまでカンヴァスを重ねることによって作られてきた下地は、徐々に平滑になり、画面は自在なストロークによる有機的な形象に占められるようになります。芸術選奨新人賞を受賞したのはその時期で、さらに発表の機会毎に特定のテーマが設定され、組み合わせを意識した作品はモニュメンタルな傾向を帯び、展示の有り様を重視する方向に進んでいます。
特別展示
彫刻家・岡本敦生とのコラボレーションによる立体作品[17点]の他、ドローイング[60点]も併せて展示します。
野田裕示 略歴
主な展覧会
1977 「野田裕示展」 南画廊(東京)
1983 「野田裕示展」 ギャラリーホワイトアート(東京)
1985 「野田裕示展」 ギャルリーユマニテ東京 (以後、同画廊で継続的に発表)
1987 「第18回現代日本美術展 企画部門[現代絵画の展望─平面と空間]」
東京都美術館、京都市美術館、北九州市立美術館、宮城県美術館
1988 「現代日本美術の動勢─絵画 PART2」展 富山県立近代美術館
1995 「野田裕示近作展─絵画の原風景をもとめて」 和歌山県立近代美術館
関連イヴェント
アーティスト・トーク、講演会
(1)1月21日(土) | 「自作を語る」 野田裕示 |
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(2)2月4日(土) |
「南画廊と野田裕示」
林 牧人(森美術館 管理運営グループ ファシリティー・マネージャー) |
(3)3月2日(金) | 対談:野田裕示×福永 治(当館副館長・当展企画者) |
(4)3月17日(土) |
「美術批評と野田裕示」
三田晴夫(美術ジャーナリスト) |
※時間:(1)(2)(4)は14:00–15:30 (3)は18:30–19:30 / 会場:国立新美術館3階講堂 / 定員:250名(先着順)
聴講無料ですが、本展観覧券(半券可)の提示が必要です。 |
ワークショップ
2月18日(土) | 講師:富田菜摘(現代美術家)、野田裕示 |
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3月24日(土) | 講師:開発好明(現代美術家)、野田裕示 |
参加には事前に申し込みが必要です。
各イヴェントの日時や内容は変更される場合があります。詳細やその他関連イヴェント等最新の情報については、当館のホームページをご覧ください。
取材に関するお問い合わせ
国立新美術館 広報担当
〒106-8558 港区六本木7-22-2
TEL: 03-6812-9925 / FAX: 03-3405-2532 / E-mail: pr@nact.jp