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アーティスト・ファイル2010 ―現代の作家たち

  • 開催終了
  • 企画展

展覧会概要

「アーティスト・ファイル」は、国立新美術館が、国内外で今もっとも注目すべき活動を展開している作家たちを選抜し、紹介するアニュアル(毎年開催)形式の展覧会です。2008年、2009年に続き3回目となる今回は、国内6名、海外1名の計7名の作家を取り上げます。
「アーティスト・ファイル」には、毎回、特別なテーマはありません。また、表現メディアや年齢にも制限を設けていません。今回も、30歳代から50歳代まで幅広い世代の、絵画、映像、立体など、さまざまな表現、さまざまなテーマが会場に展開します。この多様性や複雑さから、時代のリアリティーというべきものを浮かび上がらせることが、「アーティスト・ファイル」の目的です。
その意味で、「アーティスト・ファイル」は、文字通り、各作家が独自の視点で切り取った「現代」をファイリングした、大きなキャビネットにも例えることができるでしょう。ファイルを次々と手に取るように、7名の個展をめぐりながら、それぞれの「現代」をお楽しみください。

会期 2010年3月3日(水)~5月5日(水・祝)
毎週火曜日休館 ※ただし5月4日(火)は開館
開館時間 10:00から18:00まで
※金曜日は20:00まで。入場は閉館の30分前まで。
※3月27日(土)は「六本木アートナイト2010」開催にともない22:00まで開館
会場 国立新美術館 企画展示室2E(東京・六本木)
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
主催 国立新美術館
お問合せ ハローダイヤル 03-5777-8600
観覧料(税込)
当日券 1,000円(一般)、500円(大学生)
前売券 900円(一般)、400円(大学生)
団体券 800円(一般)、400円(大学生)
  • 高校生、または18歳未満の方、および障害者手帳をご持参の方(付添の方1名を含む)は無料。
  • 団体券は会場でのみ販売。(20名以上に適用)
  • 前売券、および当日券はチケットぴあ(Pコード:688-973)、ローソンチケット(Lコード:32999)で取り扱っています。
  • 会期中に当館で開催中の企画展、および公募展、またサントリー美術館、森美術館(六本木アート・トライアングル)で開催中の企画展チケット(半券可)を提示された方は、団体料金が適用されます。
  • 3月27日(土)は「六本木アートナイト2010」開催にともない無料
  • 割引引換券を印刷の上,お持ちください。展覧会を100円割引でご覧いただけます。

展覧会の見どころ

「アーティスト・ファイル」とは

「アーティスト・ファイル」は、新しい美術表現の紹介を使命のひとつに掲げる国立新美術館が、自主企画展として毎年開催している、現代美術の選抜展です。2008年にスタートし、今回が3回目となります。

幅広い表現メディア、幅広い年齢層から選抜

「アーティスト・ファイル」では、毎回、国内外の現代美術の世界で今もっとも注目すべき活動を展開している作家たち、数名を取り上げます。今回は、国内6名、海外1名の計7名の作品を紹介します。彼らは特別なテーマのもとに選ばれた作家たちではありません。また、特定の表現メディアに限定して選ばれたわけでもありません。年齢も30歳代前半の新進作家から50歳代後半のベテラン作家まで、幅広く網羅されています。

展覧会全体で美術の“今”を浮かび上がらせる

「アーティスト・ファイル」は、現代美術の状況を俯瞰するべく、同種の現代美術展にあるような「枠」をあえて設けず、美術界の先端で生み出されている多種多様な新しい表現を一堂に紹介し、それら全体によって美術の“今”を浮かび上がらせることを目的としています。

ファイルを手に取り、開いていく感覚で楽しめる

「アーティスト・ファイル」の会場は、作家それぞれの世界をじっくり鑑賞していただけるよう、個展をめぐっていく構成になっています。カタログも、各作家ごとに作成した冊子をひとつの箱に収めたユニークなものです。展示室という巨大なキャビネットに並んだアーティストのファイルをひとつひとつ手に取り、ワクワクしながら開いていく、そんな感覚でお楽しみいただきたい展覧会です。

作家に関する資料の収集・提供と連動したプロジェクト

「アーティスト・ファイル」という名前は、展覧会のコンセプトを比喩的に表現しているだけではありません。国立新美術館は、国立のアートセンターとして、美術に関する情報や資料の収集・提供も使命として掲げていますので、この「アーティスト・ファイル」の出品作家に関する資料も、展覧会を機に収集し、「ファイル」を作成して蓄積、公開していきます。「アーティスト・ファイル」は、展覧会活動と情報資料の収集・提供とが一体化した、国立新美術館ならではのプロジェクトなのです。

出品者紹介 (ABC順、敬称略)

福田尚代
FUKUDA Naoyo (b. 1967-)
埼玉県生まれ。現在、埼玉県在住
福田尚代は、言葉や文字と、自身、あるいは世界とのつながりのあり方に意識を向けながら、回文※の詩作と、本や文房具を素材とした作品によって、独自の表現世界を紡いできました。本展では、大学院終了制作である、細かな「蓮」の字を書き連ねた平面作品《不忍 蜘蛛の糸》から、書物を用いた一連の作品、回文の印字、そして名刺や葉書を素材にした新作にいたるまで、言葉にまつわる作品を一堂に集め、ひとつのインスタレーションとして構成する予定です。
※文頭・文末のどちらから読んでも同じ音になる文章
石田尚志
ISHIDA Takashi (b. 1972-)
東京都生まれ。現在、東京都在住
石田尚志は、線描によって抽象絵画が描かれていく過程を一筆進めるごとにコマ撮りし、記録した映像を制作しています。ひと続きに上映すると、線が人の手を介さず、あたかもそれ自体が生命を得て動き回り、画面を埋め尽つくしていくかのように見えます。
静止した絵画の世界から生まれる、連続する有機的な映像の世界は、時間の永遠性や無限に広がる宇宙をも感じさせ、壮大なスケールで観る者に迫ります。本展では、3面スクリーンによる映像作品や、巻物状の絵画とその生成映像を組み合わせたインスタレーションなどを紹介する予定です。
桑久保 徹
KUWAKUBO Toru (b. 1978-)
神奈川県生まれ。現在、神奈川県在住
海岸のあちこちに本が積み上げてあったり、人々が横たわっていたりする桑久保の絵画は、不可思議で幻想的なイメージに満ちています。それは、桑久保本人の心象風景であると同時に、人と人との関係が希薄化した現代の荒涼とした時代感を表現しているかのようです。こうした独特の世界は、北方ヨーロッパの巨匠たち(ゴッホ、ムンク、アンソールなど)の作品を想起させる筆遣いや色使いを引用することで、さらに強調され、深みを帯びます。今回はそうした作品9点と、壷をモチーフにした新作10点を紹介する予定です。
アーノウト・ミック
Aernout MIK (b. 1962-)
オランダ、フローニンゲン生まれ。現在、アムステルダム在住
オランダの作家アーノウト・ミックは、彫刻から出発し、写真やインスタレーションも手がけるなかで、映像を組み合わせる手法を見いだしました。ミックのビデオ作品は、一見、明確なストーリーが展開しているようにも見えますが、出来事が反復したり、意味のない行為がなされたりしています。こうした映像を複数のスクリーンに投影するインスタレーションは、見る者の視覚だけでなく、身体感覚をもダイレクトに刺激します。本展では、二点のビデオ作品、《浸透と過剰》(2005)と、《タッチ、ライズ・アンド・フォール》(2007)を組み合わせたインスタレーションを展開します。
南野 馨
MINAMINO Kaoru (b. 1966-)
大阪府生まれ。現在、大阪府在住
南野馨の作品は陶です。つまり土を焼いて作った立体作品ですが、一見すると、金属の部品で構成された構造体のように見えます。私たちは土による造形と聞くと、つい手を使って造形した有機的な形を思い浮かべてしまいますが、南野はそうした先入観に風穴を開け、設計図を書き、型取りし、焼いた後の縮みも計算に入れながら、土によりシャープで無機的な形を作り出します。本展では、新しい陶のあり方を追及する南野の新作2点を紹介する予定です。
O JUN
O JUN (b. 1956-)
東京都生まれ。現在、東京都在住
O JUNは、描く対象と自身との関わりのあり方によって、画材や技法を変えながら、絵画、ドローウィング、版画とさまざまな媒体の平面作品を制作し、「描くこと」に体当たりで取り組み続けてきました。人物、建物、風景など、身の回りのごくありふれた対象が目にとまったときの一瞬の反応を、潔い線描と平坦な色面にとらえた画面は、独特の不可思議なリアリティをたたえ、見る者の習慣化した物の見方や思考をゆさぶります。今回は、まだ学生の頃の1982年に描かれた油彩画から最新作まで、絵画作品を一堂に会し、O JUN絵画の集大成ともいうべき展示を試みます。
斎藤ちさと
SAITO Chisato (b. 1971-)
東京都生まれ。現在、千葉県在住
物理学では、世界は粒子を基本に構成されていると考えます。斎藤ちさとは、その考え方にもとづき、見えるものの形を「粒」によって表現することから始めました。それは最初に「米粒」を使った作品となり、次いで「粒」を三つ合わせた「クローバー」による表現に、さらには「気泡」をモチーフにする作品へと展開します。炭酸水によって生まれた「気泡」を撮影した作品にご注目ください。水を介することで抽象絵画のようにさえみえる背後の風景が、ひとつひとつの気泡のなかに美しく映し出されています。本展ではそうした写真作品と、「粒」をテーマにしたアニメーション映像を紹介します。

関連イベント

アーティスト・トーク

作家 アーノウト・ミック
日時 3月5日(金) 18:00-19:00
会場 企画展示室2E
作家 桑久保 徹
日時 3月21日(日) 14:00-15:00
会場 別館3階多目的ルーム
作家 南野 馨、O JUN
日時 3月27日(土) 19:00-20:30
会場 企画展示室2E
作家 福田尚代
日時 4月3日(土) 14:00-15:00
会場 3階研修室A・B
定員 60名(先着順)
作家 石田尚志
日時 4月10日(土) 14:00-15:00
会場 3階研修室A・B
定員 60名(先着順)

※いずれも聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)が必要です。

アーティスト・ワークショップ

作家 斎藤ちさと
日時 3月20日(土) 13:30-16:30
URL https://www.nact.jp/release/20100219.html

取材に関するお問い合わせ

国立新美術館 広報担当
〒106-8558 港区六本木7-22-2
TEL: 03-6812-9925 / FAX: 03-3405-2532 / E-mail: pr@nact.jp

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