新しい美術の動向を紹介することは、国立新美術館の重要な使命の一つです。この使命を果たすため、同時代に生きる作家たちの活動を、毎年定期的に紹介していく展覧会を企画しました。継続的に開催していくことで、時代の鳥瞰図を提示することを目指しています。
会期 | 2008年3月5日(水)?5月6日(火・祝)毎週火曜日休館 ただし、4月29日(火)、5月6日(火)は開館、4月30日(水)は休館 |
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開館時間 | 10:00から18:00まで ※金曜日は20:00まで。入場は閉館の30分前まで。 |
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会場 | 国立新美術館 企画展示室2E (東京・六本木) 〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2 |
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主催 | 国立新美術館 | ||||||||
協力 | 日本航空 | ||||||||
巡回情報 | 本展は日本国内での巡回はありません | ||||||||
お問い合わせ | ハローダイヤル 03-5777-8600 | ||||||||
観覧料 |
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展覧会の見どころ
現代に生きる作家たちを紹介するアニュアル展
多様な表現、多様なテーマ、多様なメディア
「アーティスト・ファイル」展は、統一的なテーマを設けていません。それによって、様々な領域から、力のある作家たちを集めたグループ展が可能となりました。また、変化に富んだ展示をごらんいただくことができます。
日本の作家を中心に、海外作家も紹介
交通や通信が発達した現代の世界では、世界のいろいろなところで共通した問題が起こっています。そこで、今回は国内の美術状況にとらわれず、海外作家や海外で活躍する作家を含めて紹介しています。
一人一人の作家をじっくりと紹介
8人の作家に、それぞれ独立した空間を提供し、展示を構成しました。一人一人の作家をじっくりと、個展を見るように鑑賞することができます。
ファイル形式の図録編集
8人の作家一人一人が別冊の、8分冊からなる図録を出版します。それぞれの作家ファイルには、16ページのカラー図版とともに、略歴・文献目録、解説エッセイが収録されます。また、今回の展示の状況を掲載した記録集も、後日出版致します。
出品者紹介
エリナ・ブロテルス(Elina Brotherus)
1972年生まれ。フィンランドとフランスを拠点に、写真とビデオの分野で活躍しているフィンランド人女性アーティスト。彼女がモティーフとしているのは、風景とセルフ・ポートレートです。初期には、離婚やフランス移住などの身の上の変化を反映させた自伝的な作風でしたが、近年では、フリードリヒ、セザンヌ、ボナールなど、過去の芸術作品の構図やモティーフを下敷きにした作品に変化しています。
今回は「ニュー・ペインティング」と「モデル・スタディ」という二つの連作を中心に、近作を展示します。
市川武史(Takefumi Ichikawa)
1971年生まれ。市川の作品は、特殊な透明フィルムで造形したバルーンの中にヘリウムガスを満たした「浮遊」シリーズ、煙やミルクを使った作品、音を使ったパフォーマンスと、多様な側面を持っています。しかしいずれも、存在感が希薄で、形や場所の定まらない、時間とともに推移していく、いわばエフェメラルな作品であるという共通点を持っています。
既存の芸術の形式に対する挑戦であるとともに、私たちの近くを別の形で定着しようとする試みであるとも言えるでしょう。今回は、「浮遊」シリーズの集大成的なインスタレーションを行います。
ポリクセニ・パパペトルー (Polixeni Papapetrou)
1960年生まれ。オーストラリアの女性写真作家。彼女の作品は、1996年に娘オリンピアが誕生したのをきっかけとして、社会や歴史における子供のイメージをテーマとするものに変化しました。今回の展示は、ブッシュ(野生のままの荒野や森林を指すオーストラリア特有の語)に入り込んで迷子になってしまった子供たちを主題とした「ホーンテッド・カントリー」(2006)と作家の子供時代の野外の遊びをモティーフとした「ゲームズ・オブ・コンシークエンス」(2008)の二つの連作を展示します。
佐伯洋江(Hiroe Saeki)
1978年生まれ。佐伯洋江の作品は、白いケント紙の上に、サンドペーパーで先を細く研いだシャープペンシルを主な画材として描かれています。余白を広く取った真っ白な画面の上に、花や蝶、キノコなどの動植物、アクセサリーや靴、グラスなどの小物から城や海のような風景まで、様々なモティーフが変幻自在に、細かく繊細な筆致で描きこまれています。日本の伝統的な花鳥風月を連想させるとともに、全体と細部とが等価に共存している画面は、これまでにない新しい空間感覚をたたえています。
さわひらき(Hiraki Sawa)
1977年生まれ。ロンドンの美術学校に学んださわひらきは、コンピュータ・グラフィックスのソフトを手に入れたことをきっかけとして制作した、自分のアパートの部屋の中でミニチュアサイズの飛行機が離発着を繰り返すビデオ作品≪Dwelling≫(2002)によって、一躍国際的に注目を集めるようになりました。今回出品される≪hako≫は、6面のビデオ・プロジェクションを同時に展開するこれまでにない大作のビデオ・インスタレーションで無意識の記憶の底への旅と帰還を思わせる、謎めいた象徴的な作品です。
白井美穂(Mio Shirai)
1962年生まれ。1980年代後半より活動を開始した白井は、既製品を組み合わせて不条理感やずれを生み出し、日常的な認識に異議を申し立てるコンセプチュアルなインスタレーション作品により、早くから注目されました。今回の展示は、「芸術についての三部作」と銘打たれたビデオ・インスタレーションで、≪The Creative Act≫、≪西洋料理山猫軒≫、≪L'Amour≫の三つの部屋からなっています。コミカルな要素を交えながら、創造行為のうちに存在する様々な次元が明らかにされていきます。
祐成政徳(Masanori Sukenari)
1960年生まれ。祐成政徳の作品は、展示空間の様々な特性を参照したり反映されたりしながら構想・制作される、いわゆるサイト・スペシフィックなインスタレーションで、ポップで鮮やかな色彩や、バルーンなど様々な素材の大胆な使用を、大きな特徴としています。今回は、1999年北九州、2001年佐倉、2007年ニューデリーという、それぞれ展示された時期も場所も異なった空間に投げ入れることで、新しい意味を引き出しています。
竹村京(Kei Takemura)
1975年生まれ。現在ベルリンに住んでいる竹村京は、薄いオーガンジーの布に刺繍などの手法を用いて、自分自身や親しい人々の記憶、そして思念の中にある部屋などの空間を再現する大作や、そして同じ手法で壊れてしまった器など修復する作品など、繊細さと大胆さを特徴とする独自のスタイルによって、国際的にも注目されている女性作家です。今回は、写真の連作や、ベッドを組み合わせた大規模な立体作品など、多様な作品を紹介するとともに、パフォーマンスの上演も予定されています。
アーティスト・ファイル2008 関連イベント
- 竹村京パフォーマンス《May I enter? 2》
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日時 2008年3月7日(金)18:30? 会場 国立新美術館企画展示室2E 参加無料(ただし本展の入場券が必要です)
- アーティスト・トーク
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作家 ポリクセニ・パパペトルー(本展出品作家)、エリナ・ブロテルス(本展出品作家) 日時 2008年3月9日(日)14:00-17:00 会場 国立新美術館講堂 定員 先着250人 聴講無料
- ワークショップ
ヒューマンサイズ・プロジェクト?つくろう!自分サイズのバルーン!? -
日時 2008年3月15日(土)、16日(日)13:30?16:00 参加受付 企画展示室2E出口(当日13:15までにお申し込みください) 定員 各日先着30名 対象 どなたでも(子供から大人まで) 参加無料(ただし本展の入場券が必要です)
- アーティスト・トーク
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作家 さわひらき(本展出品作家) 日時 2008年3月23日(日)14:00-16:00 会場 国立新美術館講堂 定員 先着250人 聴講無料
- アーティスト・トーク
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作家 竹村京、佐伯洋江 日時 2008年3月20日(木・祝)14:00?16:00 会場 国立新美術館講堂 定員 先着250人 聴講無料
- アーティスト・トーク
「私のロマンティシズム」 -
作家 祐成政徳(本展出品作家) 日時 2008年4月6日(日)14:00?16:00 会場 国立新美術館講堂 定員 先着250人 聴講無料
- ワークショップ
空想の場所をつくってみよう -
作家 さわひらき(本展出品作家) 日時 2008年4月12日(土)13:00-16:30 開催場所 国立新美術館別館3階多目的ルーム 対象 8-15歳 定員 15名 参加費 500円 お申込方法など詳細はこちらをご覧ください
- アーティスト・トーク
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作家 白井美穂 (本展出品作家) 日時 2008年4月26日(土)14:00?16:00 会場 国立新美術館講堂 定員 先着250人 聴講無料